恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十一話 怪物達、また騒動を起こすのことその一
第百十一話 怪物達、また騒動を起こすのこと
歌の大会が開かれる日が来た。その朝にだ。
程昱は共に朝食を食べる郭嘉に対してこう言った。
「凛ちゃんは一人で出るの?」
「いや、私は一人ではなく」
「三人で」
「そう、美羽様と七乃殿と三人で」
「いつもの組み合わせなのね」
「やっぱりあのお二人とは相性がよくて」
それでだ。共に歌うというのだ。
「それで三人で」
「成程。けれど」
「けれど?」
「若し時間があれば」
どうかとだ。郭嘉に言うのである。
「私とも一緒に歌って欲しい」
「風と」
「駄目?」
朝食の米の粥を食べながら郭嘉に問う。
「二人で」
「いや、それは」
狼狽した様な口調になりだ。郭嘉は言葉を返す。
「風も歌えるの」
「一応は」
「そうなの。それじゃあ」
断わることはだ。どうにもなのだ。
郭嘉はできない。それでこう答えた。
「私でよかったら」
「有り難う」
「けれど風も歌えたの」
「意外だった?」
「ううん、何ていうか」
「結構歌える人も多いから」
程昱はこんなことも言った。
「私もその一人」
「ううん、本当に今まで知らなかったわ」
「後は」
「後は?」
「呂蒙ちゃんも歌えるから」
彼女もだというのだ。
「一回聴いてみればいいから」
「呂蒙殿も。そういえば」
「凛ちゃん何処かの世界で一緒だった筈」
「そうだったわ。あの娘とは」
「実は私も」
そしてそれは程昱もだった。
「知らない間柄じゃないから」
「確かに。思えば呂蒙殿は」
郭嘉は己の中身の記憶から話していく。
「人形使いだったわね」
「凛ちゃんは剣士だった」
「結構方向音痴で」
「あれは結構どころじゃないと思う」
「それで風も」
「そう、学生さんだったから」
彼女にしてもそうした縁でだ。呂蒙を知っているのだった。
「知っている」
「そうだったわね。では呂蒙殿も」
「出られるから」
こうした話をしてだった。二人はだ。
朝食の後で呂蒙のところに来てだ。大会に誘った。
それを言われてだ。呂蒙は驚いた顔で返した。
「あの、私もですか」
「そうです、呂蒙殿もです」
「参加するべきだから」
「ですが私は」
どうなのかと。呂蒙は難しい顔で答えた。
「歌は」
「ですが呂蒙殿は絵だけでなく歌も見事です」
「自信を持っていいです」
「いえ、ですから」
どうしてもだ。呂蒙は自分に自信を持てない。この辺り性格が出ている。
それでだ。断ろうとした。
「申し訳ありませんが」
「そうですか。それでは」
「仕方ありませんね」
郭嘉も程昱も断ろうとする。しかしだ。
ここでだ。孫権が出て来た。そうして言うのだった。
「いいじゃない」
「蓮華様」
呂蒙は彼女の姿を見てすぐに掌と拳を合わせて礼をする。その彼女にだ。
孫権は笑顔でだ。こう言ったのだった。
「亞莎、貴女も歌会に出なさい」
「いいんですか。私も」
「ええ、貴女に足りないのは」
微笑んでだ。孫権はその呂蒙に言う。
「自信だから」
「自信ですか」
「貴女は頭もいいし」
そしてだというのだ。
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