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夢幻水滸伝

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第二百十五話 共同統治その一

               第二百十五話  共同統治
 リーは旗艦シンガポールに東南アジアの星の者全員を乗せてそのうえでカーペンタリア湾中央に向かった。この艦は無傷だった。
 朝早くに錨を上げて出発したがその艦橋で彼は仲間達に言った。
「まだ警戒してるか」
「はい」
 アルフィアンが答えた。
「戦になるか」
「大丈夫や、シェリルさんは話をすると言うたらな」
「小細工はせんで」
「話に専念する」 
 そうするというのだ。
「そやからな」
「安心してええですか」
「オセアニアの他の星のモンもな」
 彼等もというのだ。
「むしろ穏健派ばかりでな」
「会談の時に武を出して来る」
「そんなことはせんわ」
「そうですか」
「勿論こっちもや」 
 東南アジア側もというのだ。
「やっぱりな」
「仕掛けませんね」
 アユが言ってきた。
「会談に専念しますね」
「そや、小細工はな」 
 これはというのだ。
「一切な」
「しませんね」
「そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「ことを進めるで」
「わかりました」
「この会談で南洋が決まる」
 リーははっきりと言い切った。
「この世界のな」
「さて、どうなるか」
 今度はブッパースウォングが言ってきた、艦橋に星の者達が揃っていてそのうえで全員で話をしているのだ。
「これから」
「少なくとも戦では決着がつかんかった」
「勝った方が南洋の覇者でしたが」
「それでもな」
「その戦が引き分けに終わった」
「それやとや」
「もう会談で決まりますね」
「そうなる、しかし決めるべきところで引き分けたなら」 
 それならとだ、リーはさらに言った。
「もうそれが答えやな」
「勝者はいない」
「そや、そのうえでの統一か」 
 若しくはというのだ。
「分裂か」
「どっちかですね」
「東南アジアとオセアニアは貿易が盛んでや」
 多くの船が常に行き交っている、経済関係は極めて強い。
「分かれることはな」
「出来んですね」
「政治的にどうしようとしても」
 それでもというのだ。
「経済がそやとな」
「分かれませんね」
「戦をせんとこと思ったら」
 それならというのだ。
「貿易をすることや」
「そして双方の絆を強めれば」
「戦になったらな」 
 そうしたらというのだ。
「お互い不利益が生じる」
「そやから戦にならへんですね」
「そこを分かれさせたり戦やと言うのは」
 そうした輩はというのだ。
「注意することや」
「そうしたことを言う人って大抵あれですよね」 
 ここで言ったのはハリムだった。 
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