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物語の交差点

作者:福岡市民
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とっておきの夏(スケッチブック×のんのんびより)
  宮内邸にて

なっちゃん「いやー、駄菓子屋って面白かところやねえ」

葉月「ええ、スーパーでは売っていないようなお菓子がたくさん売っているもの」



「かが屋」にてしばし買い物を楽しんだ御一行。みなそれぞれ気に入ったものが手に入ったようでご満悦の表情だ。


ケイト「ワタシには宇治抹茶金時のかき氷がトテモ美味しく感じられマシたー!」

葉月「たしか700円だったわよね?私も食べたかったけど流石に躊躇したわ」

なっちゃん「しかもケイト、万札で払いよったやん!」

ケイト「ソレしか手元に無かったのデス。特に深い意味はアリマセンヨー?」

空:おお、ブルジョワジーだ…。


ケイトは1杯700円の宇治抹茶金時のかき氷を頼み、しかも1万円札で会計をしたこともあって他のメンバー(特に美術部の同級生たち)から羨望と驚愕の眼差しを向けられていた。

宇治抹茶金時を頼んだのはケイトだけであとのメンバーはブルーハワイ、イチゴ、レモンの各種かき氷(いずれも1杯100円)やビッグカツ、モロッコヨーグル、よっちゃんイカ、うまい棒といった庶民的(?)なお菓子を買っている。


しおり「れんげちゃん、わたしこれからお昼ご飯だから帰るね!」

れんげ「え、しおりちゃん帰っちゃうん?」


れんげは少し残念そうな顔をした。


しおり「うん、パパが『お昼までには帰ってきなさい』って言ってたのー」

ほのか「それなら私が送っていってあげるよ。私もそろそろ帰らなきゃいけないし」


店の時計を見ながらほのかがしおりに言った。


しおり「本当?ほのかちゃんありがとう!」

なっつん「ほのかちゃん、よろしく頼むよ」

ほのか「任せといて下さい!」エヘン


ほのかは胸を張った。


れんげ「ほのかちん!」


れんげが不意に大声でほのかを呼んだ。


ほのか「ん?」

れんげ「ほのかちん…。ウチ、ほのかちんにまた会えるんな?」


れんげが心配そうな表情でほのかに訊いた。


ほのか「うん、しばらくこっちにいるから会おうと思えばまた明日にでも会えるよ」

れんげ「良かったのん……それを聞いてウチは安心しました」ホッ


れんげは心底安心したように胸をなで下ろした。同年代の友達が少ないれんげにとって、ほのかはより特別な存在らしい。
余談だが、れんげは前回ほのかと会った際に彼女から髪留めをもらっており、それ以降ずっとその髪留めをつけていた。


ほのか「さてと。しおりちゃん、そろそろ行こうか?」

しおり「うん!」


ほのかはしおりと手を繋いだ。


ほのか「それでは失礼します。皆さん、この後も楽しんで下さいね!」

しおり「またねー!」

空:おー。

樹々「気をつけてねー」

ほのか「ありがとうございます。さようなら!」


しおりとほのかは皆に手を振りながら帰っていった。


ひかげ「ところでかず姉、これからどうすんの?」


しばらく2人を見送っていたひかげが一穂に尋ねた。


一穂「んー、お腹も減ったしなあ。ちょっと早いけどウチでご飯にしようか」

蛍「えっ、こんな大人数の料理作るのって結構大変じゃないですか?」

一穂「実は午前中のうちにカレーの材料を買い出しに行っとったんよね」

渚「そうなんですか!?」

朝霞「おおー!」

れんげ「さすが姉ねぇ、やる時はやるのん!」

一穂「はっはっはー。もっと褒めたまえー」

ひかげ「いよっ!一穂大明神!!」

なっつん「神さま仏さま一穂さま!」

一穂「はっはっはー!」


教え子たちから誉められ、一穂は天にも昇る気持ちだった。


一穂「・・・といってもまあ、レトルトなんだけどね」

全員「」ズコー


一穂のこの発言に皆ずっこけた。


ひかげ「まあそんなところだろうと思ったよ」

渚「でもいいじゃない。レトルトカレーだって立派なカレーだよ」

小鞠「作る手間を考えれば妥当な案ですよね!」

空「」ウンウン


すかさず渚と小鞠がフォローを入れる。どんなときでも物事をプラスに捉えようとするところがいかにも彼女たちらしい。


一穂「でもまあご飯は炊かなきゃいけないんだけどね。そんなわけで我が家へ行くよー」

一同「はーい」


一行は軽トラで宮内邸に移動した。



ーー
ーーー


ー宮内邸ー


一穂「そんじゃパパっと米を仕込んでくるからちょっと待っててね」

樹々「ありがとうございます」


一穂はそう言うと足早に台所へ向かった。


なっつん「そういやこの前も言ったかもしれないけど、れんちょんちのトイレのドアノブあるじゃん」


唐突になっつんがそんなことを言い出した。


小鞠「あー、鍵つきのドアノブ」

なっつん「うん」

蛍「それがどうかしたんですか?」

なっつん「いや、どう見てもあれがアヒルにしか見えないんだよなーって話し」

空(アヒル・・・?)

空:ちょっと確かめてくる。れんげちゃん、お手洗いどこ?

れんげ「廊下を左に行った突き当たりなん」

空:ありがとう。 スッ


空は立ち上がり、部屋を出ていった。


ひかげ「わざわざ確かめに行かんでも…」

木陰「梶原さんはそういう子よ」

なっちゃん「もしくは本当にトイレに行きたかったとかもしれんね」


ほどなくして空が戻ってきた。


なっつん「おかえり。どうだった?」

空「」ポン

なっつん「ひゃっ!?」ビクッ


空から急に肩を叩かれたなっつんが驚きの声をあげた。


空:分かる分かる。ちょっと斜めにふてぶてしく構えているところがすごくいい。 ウンウン

なっつん「あー、そういうことか…。びっくりしたよ」ドキドキ


どうやら空は共感の意を示したかったようだ。


空:でもワタシにはアヒルじゃなくてペンギンに見えた。

れんげ「たしかにペンギンに見えなくもないん」

なっつん「れんちょんには何に見えてんの?」

れんげ「ウチにはキメラに見えるんなー」

渚「キメラ!?」

蛍「さすがれんちゃん…」


れんげの豊富な想像力にみな驚いた。


蛍「そういえば私も今ふと思い出したんですけど、夏海さんってマペットを作っているそうですね。昨日ケイトさんから聞きました!」

なっちゃん「うん、今ちょうど持ってきとるばい」


なっちゃんはショルダーバッグの中から自作のマペットを2体取り出して手にはめ、そのうちの1体にカスタネットを咥えさせた。


けろきち「」カチカチ

蘭蘭(らんらん)『あっ、けろきちくんがカスタネットやってる』

けろきち「」スポッ

蘭蘭『あ!』


けろきちが咥えていたカスタネットを落とした。


けろきち『ふがふが』

蘭蘭『入れ歯やったんかい!』ビシッ


なっちゃん「・・・。」ドヤッ

蛍「……えっと…………?」

葉月(まあ、初めてあの寸劇を見たらそういう反応になるわよね・・・。)


ドヤ顔のなっちゃんにどう反応していいか分からず戸惑っている蛍を見ながら葉月はそう思った。


なっちゃん「・・・とまあ、こげな感じで遊ぶとよ」


マペットの寸劇を終えたなっちゃんが解説を始めた。


ひかげ「おー、なかなかかわいいじゃん」

なっちゃん「やろ!?こっちが“けろきち”でこっちが“蘭蘭”っていうとよ」

蛍「けろきち君に蘭蘭ちゃんですか」

なっちゃん「うん。それから今日は持ってきとらんとやけど他にもあと3匹おってね、“ミハエル”と“ロバート”と“タムタム”の5人きょうだいなんよ」

蛍「きょうだい…?」

のんのん勢(名前から血の繋がりが感じられない…。)


のんのん勢はなっちゃんの解説に少し困惑した様子だった。


蛍「え…えーと、もし良かったらマペットの作り方を教えてもらえませんか?私、裁縫得意なんで!」

なっちゃん「よかよか(いいよいいよ)!喜んで教えちゃあばい!」


なっちゃんは嬉々として答えた。


蛍「本当ですか!?ありがとうございます!」

蛍(やったー!これで『こマペット』が作れる♪)


蛍は内心ホクホクだった。


小鞠「夏海さん、私にもマペットの作り方教えて下さい!」

れんげ「ウチも作りたいん!」

なっちゃん「よかばい!……ああ、これでようやく誰かとマペットで遊べるったいね。嬉しかー!」

ケイト「ヨカッタですね、ナツミー!」

なっちゃん「うん!」




ーーーその後、ご飯が炊きあがるまでの間なっちゃんはのんのん勢にマペットの作り方を丁寧にレクチャーした。 
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