夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百十四話 カーペンタリア湾海戦その八
「そやからじゃ」
「ここはですね」
「頼むけえ」
「わかりました、ほな」
「そういうことでな。敵の采配もな」
これのことも話した。
「二手に分かれたな」
「そうですね、艦隊としては一つですが」
「左右に分かれてる感じや」
そうなっていることもだ、碧は見た。
「スーンとロシティーやな」
「お二人で、ですね」
「それぞれ艦隊を指揮しとるわ」
「そやからですね」
「左右に分かれてるんじゃ」
そうした感じになっているというのだ。
「そういうことじゃ」
「左様ですね」
「しかしこっちは違うけえ」
「一つになっていますね」
「わらわが指揮しちょる」
碧一人がというのだ。
「シェリルちゃんに任されたうえでのう」
「そやからですね」
「采配は一つじゃ、しかし」
それでもとだ、碧はさらに言った。
「二人共采配はええからのう」
「侮れないですね」
「連携も出来てる、間隙に付け込むこともな」
このこともというのだ。
「出来ん」
「ほなどうして戦うか」
「風と波、潮流に乗ってな」
艦隊をそうさせてというのだ。
「そのうえでな」
「艦隊を動かしてですか」
「戦ってくけえ」
そうするというのだ。
「ここはな」
「そうされますか」
「そうするけえ、大戦艦も封じられた」
その攻撃をというのだ。
「そやからじゃ」
「そうして戦いますか」
「そうするけえ」
こう言ってだった。
碧はマーガレットにテレサへの対抗を任せて自身は采配に専念した、大戦艦は攻撃を行えなかったのだが。
それでもだ、采配を行って戦った。時折自身も術での攻撃を放つが。
両軍の損害は増えていっていた、ここで碧の神具の一つである因幡の白兎が出て来て主に言ってきた。
「ご主人、両軍共にです」
「損害が増えてきてるのう」
「ええ、凄いですよ」
宙に浮かびながら言ってきた。
「これは」
「お互いに撃ち合いになってるのう」
「大砲も術も」
その両方でというのだ。
「かなりのものになっていまして」
「お互いやられてきちょる」
「はい、どうしますか?」
「どうしますもこうしますもないわ」
碧は強い声で答えた。
「もうのう」
「このまま戦いますか」
「地の利は使っちょるが」
湾内のそれをというのだ。
「それでものう」
「相手もですね」
「そうしてきちょるしな」
「お互いになっていて」
「しかもこっちの切り札がな」
これがというのだ。
「大戦艦の攻撃も」
「出来なくなっていて」
「後はな」
「もう撃ち合いですね」
「こうなったらじゃ」
碧は戦局を見つつ腕を組んで言った。
ページ上へ戻る