八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百三十三話 除夜の鐘その十三
「飲みにくいしね」
「それに身体にもよくないしね」
「胃にお酒がそのままいくから」
「何か一緒に口にして」
「胃に入れないとね」
「だからお塩はね」
大晦日の八条寺ではだ。
「清めでね」
「それでおつまみね」
「般若湯のね、じゃあね」
「お塩もなのね」
「いただこうね」
「それじゃあね」
「お酒にお塩もね」
この組み合わせもだ。
「中々いいんだよね」
「あっさりしていて」
「そう、謙信さんも楽しんだし」
今話したこの人もだ。
「毎晩縁側に座って」
「お酒飲んで」
「肴はお塩か梅干しかお味噌だったんだ」
あと干し魚もあったらしい。
「その謙信さんみたいに飲むのもね」
「いいわね」
「うん、ただね」
「お酒に塩分多いと」
「身体にはよくないよ」
言うまでもなくだ。
「高血圧とか糖尿病とか脳梗塞の元だよ」
「あと脳出血もよね」
「実際謙信さん脳出血で亡くなってるしね」
四十九歳でのことだ。
「一回倒れてね」
「それでなのね」
「そう、もう一度ね」
倒れたのも脳梗塞か何かだったと思う。
「倒れて」
「それでなのね」
「死んだんだ」
「お酒の飲み過ぎね、絶対に」
「倒れてからも飲んでいたし」
兎に角これだけは止められない人だったからだ。
「それで塩分もね」
「いつも沢山なのね」
「そうだったから」
お酒に加えてだ。
「そうなっても仕方ないね」
「何でも過ぎると駄目ね」
「そうだね」
「それで今も」
「温まる位だよ」
あくまでそれ位だ。
「本当にね」
「それだけで」
「あたたまって」
そしてだ。
「神社に行こうね」
「そうね、お寺の次はね」
除夜の鐘は終わった、それならだ。
「神社に行って」
「初詣ね」
「それに行こう」
二人で般若湯を実際に温まる位に飲んでだった。
僕と香織さんは次は神社に向かった、そうして今度は初詣となった。
第三百三十三話 完
2021・5・23
ページ上へ戻る