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夢幻水滸伝

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第二百十三話 敢えてその海にその十

「まさに」
「普通に考えたらな」
「そうですね」
「しかしここでな」
「どう戦うか」
「それ次第や、そして敵はどうして戦うかをな」
「まず考えますね」
「この湾の中に入れば袋の鼠や」
 リーはこのことを指摘した。
「袋の鼠はどうしてやっつける」
「もうそれは一つしかないですね」
 ズーが笑って言ってきた。
「ほんまに」
「囲むしかないな」
「もう囲んでますから」
 それ故にとだ、ズーは笑って話した。
「そうします」
「絶対にな」
「そやからですね」
「オセアニア軍もそうしてくる」
「絶対に」
「もうこれは誰でもする」
 それこそというのだ。
「袋の鼠はな」
「囲んでやっつけますね」
「そうする、しかし鼠はどうするか」
 即ち囲まれた方はというのだ。
「一体」
「もう終わりですよね」
「いや、終わりやない」
 囲まれてもとだ、リーは強い声で言い切った。
「まだな」
「囲まれてもですか」
「そや、袋を噛み破る」
 そうする、リーは一言で述べた。
「そうするんや」
「噛み破りますか」
「そして出たらええ、袋から出たらな」
「それで、ですか」
「もう何でもない」
 こう言うのだった。
「逆に反撃出来る、囲んだ敵をな」
「倒すことですね」
「そや、即ち囲まれた湾内で兵力を集中させて囲もうと向かって来た敵を各個撃破していくんや」
「囲んで来る敵を」
 ブッパースウォングはその言葉に目を瞠った、そうしてリーに問い返した。
「そうしますか」
「そや、鶴翼で来てもな」
 周りを囲もうとしてというのだ。
「突破すればええな」
「そうですね」
「そういうことや、ほなな」
「湾内ではですね」
「囲もうとしてくる敵を倒す」  
 その様にするというのだ。
「ええな」
「それでは」
「その様にしてくで」
 こう言ってだった。
 リーはスラバヤに集結させていた水軍と空船達をフロレス海、バンダ海を通ってそのうえでアラフラ海に向かっていた。
 その艦隊を指揮しつつだ、リーは仲間達に言った。
「敵はカーペンタリア湾に入っているな」
「左様です」
 アユが答えた。
「今は」
「そこに集結してやな」
「我々を待っています」
「そやな、ほなな」
「我々はですね」
「あちらとの話通りにや」
 まさにその通りにというのだ。 
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