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真似と開閉と世界旅行

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剣〜

 
前書き
こ、今度は長すぎた・・・ではどうぞ! 

 
・・・何故こうなったのだろう。

「なあ、咲」

「んー?」

「どこだここ」

咲はため息を吐く。

「55層」

「知ってるよ。俺が言いたいのは、なんでこんなにフィールドを歩き回ってるのかって意味だ」

「仕方ないだろ?リズの反応はこっちからだし、何よりイベント起こす為には北にある村に行かなきゃならんし」

「はぁ・・・っと」

背後から襲ってきたモンスターを切り捨てる。


「ま、ここらのモンスターなら安全マージン余裕で取ってるし、大丈夫・・・よっ」

咲が真っ正面のモンスターを切り捨てる。


『息をするようにモンスターを倒すッスね』

「ここらじゃ楽勝だしよ。・・・まあ、状態異常とかがあるかもだから油断はできないけどな」


咲とリパルの会話を聞きながら、辺りを見渡す。ここの層は・・・かなり寒い。一応コートは着ているが・・・

「建業はこんなに寒くない・・・」

「洛陽は基本寒いぜ?」

「同じ中国でも気温違うしなぁ」

「蜀ら辺は安定してるよなぁ・・・でも、亮んとこは海あるし・・・マシじゃね?」


「まあなぁ・・・あと、亮じゃなくてコウハな」

「・・・忘れてたぜ」


こいつ、何時か俺の本名喋るんじゃなかろうか。


「気を付けろよな・・・そう言えば長年の付き合いだけど、俺達が一緒にいるの珍しいよなぁ」

「・・・だな。Fateは士郎の家。ネギまじゃ刹那や真名の部屋・・・まあ、俺はエヴァの家にいたりしたが・・・Angel Beatsは相部屋だったけど・・・それ以降はお互いバラバラだったしな」

『・・・凄い旅だったんスね』

「・・・ああ。あの時は俺も亮・・・コウハも地雷持ちだったし・・・何より、俺は死を受け入れてなかった」

『え・・・?』

「初めて人を殺した時・・・多少ブルッたけど・・・一瞬で慣れちまった。人の命を軽んじてる訳じゃないけど、それでも俺は・・・」

『でも、その時って咲さん達は15だったッスよね?そんなの・・・』

俺は口を開く。

「・・・そんな簡単じゃないさ。俺は錯乱して、結果的に思春に迷惑をかけて、明命を傷付けた・・・あの事は今でも鮮明に思い出せるよ」

殺意の塊。初めて人に突き立てた刃の感触。兜から覗く憎悪の表情・・・

「・・・」

「・・・平気か?真っ青だぜ・・・?」

・・・まったく、SAOはここら辺が細かすぎる。

「・・・気のせいだろ。演出がオーバーなだけさ」

『・・・すみませんッス。オイラが余計なことを言って・・・』


「リパルが謝る必要なんてないよ。俺は仲間の・・・いや、自分自身の為に剣を振るい、他者を殺し、生き延びてきた。・・・その事実は変わらないから」

『そんなの・・・!』

「だからこそ。俺は生きるよ。正直人を殺すのに戸惑う時はある。けど、俺は生きる為なら・・・仲間と・・・愛する者の為になら俺は・・・挫けない・・・必ず皆を・・・」

「ほれ、そこらにしとけ」

ぽこんと咲に頭を叩かれ、俺は前を見る。・・・目の前には親友のニヤリと笑った顔。

「回りくどいんだよ。単純に好きな奴、大切な家族の為に戦う・・・これでいいだろ」


「けど、それは・・・」

「人殺すのに明命達を引き合いに出すのは嫌ってか?・・・んなこと言ってたらキリないぜ?」

「・・・」

「あのな。結局、殺しは殺しだっての。・・・悩んでたら、死ぬぞ?」

「・・・そう、だな」

・・・たまにこいつのクールさが羨ましくなる。・・・ただの友達だったのに、いつの間にこんなに差がついたんだろ・・・

「ていや」

「はぐっ!?」

ズビシ、と咲に叩かれる。

「な、何すんだよ!?」


「お前、また何かウジウジしてたろ。顔で分かる」

「う・・・」

「・・・ったく。お前、頭良くないんだから下手に考えるとドツボにハマる・・・って前にも言ったな、これ」

「はは・・・そう、だな」


「・・・なあ、本当に平気か?」

「・・・何が?」

「お前の負担が大きい気がするんだよ。明命達の一件もそうだし、その・・・蓮華襲ったり・・・ごほん、それにテイルズでも相当だったらしいし・・・この世界じゃサチさんのこともある」

「・・・」

「不安なんだよ。俺は今、沢山の人に支えて貰っている。アスナやリズ・・・それに詠やリパルも・・・」

『咲さん・・・』

「だけどお前、必要以上に人との付き合いを避けてるそうじゃないか。フレンドリストだって十いってないんだろ?」

「そ、それは関係ないだろ。てかどっからそんな情報手に入れてんだよ!」

「お前の恋人から色々な」

「亞莎か~~・・・!」


顔を覆っていると・・・咲に肩を叩かれた。

「ま、何が言いたいかと言うとだな。何でもいいから悩み事あったらすぐ俺達に話せってこった」

「あ・・・」


「溜めるよりかは吐き出した方が幾らか楽になんだろ?」

「咲・・・」

「お前は一人じゃない。・・・それだけは忘れんなよ」

『咲さん、珍しく格好いいこと言ってるッス』

「珍しく、ってなんだ珍しく、って!」

「・・・」

俺は頬を掻く。

「・・・その・・・ありがと、な」

小さく呟くと、咲は笑った。

「どういたしまして。・・・にしても、ここら辺は意外に危ないな・・・」

よく見ると通路が崖っぷちだったり。気を付けないと落下しそうだ・・・

「・・・雪山か・・・」

「・・・そっちも思うとこあるのか?」

咲に言われ、そっちを見る。

「・・・ああ。テイルズの世界で雪山・・・の中の洞窟みたいな場所で椿に会ったんだ。そこで初めて、アイツと話せたんだ。好き好んで破壊者をやってる訳じゃないことも・・・」


「そうか・・・俺は二重の記憶喪失でな。五十嵐咲の記憶はあれど、アビスのサキの記憶はなくしたままだった。・・・だけど、敵の幹部と雪山で戦って・・・その時、記憶が戻って、更に相手の幹部が・・・実の姉だった・・・ショックが強かったな・・・あ、それとリパルと仲直りした場所でもあるな」

『あの時は、大変だったッスね』

「・・・じゃあ、この雪山には何があるんだろうね」

「・・・この世界には何処だって“何か”あるだろ」


「はは・・・まあな」


その時、咲が何かあったのかメニューを開く。

「あ・・・そう言えば詠に言ってなかったな・・・」

「(・・・亞莎に知らせておくか)」

俺もメッセージを亞莎に送る。返事は・・・“気を付けてください”の文字が目立って見えた。

「(・・・あ)」

待つのは・・・とても辛い事だ。それなのに俺は・・・何時も待たせてばかりだ。今だって・・・亞莎はこうして知らせられても・・・蓮華達は・・・

「・・・咲、必ず皆を連れて帰ろうな」

「へ?・・・あ、あぁ」

きょとんとする咲よりも速く進んでいく。頑張ろう、帰る場所へ帰る為に。約束を果たす為に。






















































咲~

あれからしばらくして、村に到着した。・・・なんか、途中から亮が色々考えが纏まったのかめっちゃ勢い良かったんが・・・

「んで、フラグ立てはどうするんだ?」

亮が聞いてくる。それに対して・・・

「・・・知らない」

「はぁ!?」

「し、仕方ないだろう?俺は武器系の素材いらないし・・・」

リパルが居れば基本的に事足りる。あくまで“ある”情報を得ているだけなので、フラグ立てまで興味が行かなかった。

「村長から話を聞けばいいのか、それとも+アルファで何か必要なのか・・・」

俺が考えながらリパルに聞く。

「リパル、リズの位置は?」

『今・・・フィールドに出てるッスね』

「・・・入れ違い?」


『・・・そうッスね。経歴は・・・まっすぐ村長の家に向かってるッス』

「よし、話を聞こう」

「はいはい・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







「・・・よし!雪山に向かうか!」

「何事もなかったかのように言うなっ!!」

「・・・いや、まさかフラグ立てがあんな面倒だとは・・・」

何せ数時間も村長の武勇伝を聞かされたのだ。そりゃ色々やる気が削げる。

「・・・どうする?明日にしとくか?」

もう辺りは真っ暗で、てか数時間もすりゃ夜が明けるだろう。・・・どんだけ長話したんでしょうかあの村長はよ。

「いや、行こうぜ・・・フラグ立てしたんならドラゴン見にゃ気が済まない・・・」

明日にしたらリズも帰ってくるだろうし、ドラゴンと戦う理由はなくなる。


「・・・ここまで遅くなるなんてな・・・亞莎、心配してないかな・・・」

亮がメッセージを飛ばしているのを見て俺も詠にメッセージを飛ばす。

「よし!改めて行くぞ!」

「もう好きにしてくれ・・・」


「貫徹余裕だろ?コウハは」


「・・・そりゃ出来るけどさぁ・・・何度もやりたくねぇよ・・・」

・・・と言うことで山登りスタート。

「・・・オッルァ!!」

亮が刀を振り回し、モンスターを蹴散らしていく。

「おーい、ここら辺突きは効きにくいぞー・・・って聞いてないか」

クイックチェンジするのも面倒なのか、亮はイライラをぶつけるように刀で無双していく。・・・お陰で俺は楽なのだが。



「・・・ふぅ。リパル、リズの反応は?」

『はいッス!・・・・・・あれ?』

「リパル?」

・・・まさか。

『そ、その・・・追跡出来なくなったッス・・・』

「!!」

俺はすぐにメニューを開き、フレンドリストを見る。リズの名前には・・・・・・連絡不可の、グレー色。

「・・・嘘、だろ」



「咲、どうし・・・!?」

「リ、ズが・・・違う、まさかそんな・・・だ、だってさっきまで・・・あ、あ・・・」




「咲・・・!?おい!咲!」

亮に肩を掴まれ、我に返る。

「どうしたんだ?いきなり・・・」

「リズの・・・リズの反応が・・・どうしよう・・・どうしよう・・・」

「咲・・・?と、とにかく、もしかしたら追跡不可エリアに入ったのかもしれないだろ?」

「か、確認に・・・!」

転移結晶を取り出して・・・亮に腕を掴まれた。

「落ち着けって!わざわざ黒鉄宮に行くだけで転移結晶を・・・」

「俺にとっては大事なことなんだよ!リズは・・・リズは大事な友達なんだ・・・!」

「・・・分かった。じゃあキリトに頼もう。・・・あ・・・!?」


亮が小さく声を上げる。

「・・・どうした?」

「・・・キリトも、連絡不可だ」


「・・・」

頭が混乱して思考が纏まらない。亮の声も、リパルの声も聞こえない。

「・・・」

その時だった。メッセージが・・・アスナから届いた。

「アス、ナ・・・?」

メッセージの内容は・・・リズと連絡が取れないこと。俺が何か知らないかと言うこと。そして・・・黒鉄宮には、まだ斜線は引かれていない・・・ということ。

「・・・生き、てる・・・」

俺は息を吐いて・・・その場に座り込んでしまう。

「咲!?」

亮がすぐに俺を見てくる。

「・・・大丈夫・・・捜そう、きっとここら辺にいる筈だから・・・」

・・・ったく、亮に色々言っておいて・・・情けない。


「・・・咲!」

亮が叫び・・・曲刀を手にする。・・・そしてすぐに巨大なドラゴンが舞い降りてきた。

「コイツが・・・!」

こんな時に・・・!俺は方天画戟を手にとる。

「ダラッ!」

俺は槍単発ソードスキル《クレイモア》を発動し、叩き付ける。

ガキャア!

「くっ・・・」

だが大したダメージは通らない。

「だったら・・・!」

亮が跳び、連続で二回蹴ってから逆手に持ち直した曲刀を叩き付けた。

「どうだ・・・体術剣術複合ソードスキル《ビーストファング》の威力は・・・」

こちらは効いたようで、ドラゴンのHPバーが目に見えて減少した。


「・・・待て。このドラゴン、大分HPが減ってないか?」

「・・・そう言えば・・・っと!」

ガキィン!

鈎爪の一撃を弾き、亮は着地する。

「・・・ってことはリズか・・・?いや、違う・・・」


その時だった。不意にドラゴンがブレスを吐いてきたのだ。

「くっ!」

方天画戟を回転させ、それを弾く・・・するとドラゴンは咆哮し、空を飛ぶ。

「うわっ・・・モン○ンやってる気分だ・・・」

「コウハ、それと比にならないから、これ」

ドラゴンが飛び去っていく。それを見詰めていると光が視界を染めた。・・・夜明けだ。

「アイツ、何処いく気だ?」

「ドラゴンは夜行性って聞いたから・・・巣に戻った・・・とかかな?」



取りあえず追ってみて・・・ドラゴンは巨大な穴に入っていった。

「ここが・・・巣?」

「きっと幾ら倒されてもこっから復活するんだろーな・・・」

とにかく、帰ってくれたならそれでいい。リズを探しに・・・

「・・・咲?」

「・・・ん?」

「さっきのドラゴン・・・凄い勢いで戻ってくるんだけど」

「・・・え゛」

ビュオオオオン!!

「うわああああ!?」

風圧で吹き飛ばされ、頭から雪に突っ込んだ。

『さ、咲さん!大丈夫ッスか!?』

「あ、ああ・・・一割削れた・・・」

「着地くらいしろよな」

亮は涼しい顔で立っていた。一言文句を言ってやろうとした時・・・

「イエーーー!!」

空から声が聞こえた。見上げると・・・

「・・・リズ!?」

「・・・兄貴!?」

行方不明者二名が空を飛んでいた。

「お、親方!空から女の子が!」

「誰が親方だ!!つか行くぜ!」

二人は雪の上を滑走し、着地した。

「キリト!」

「・・・コウハ!?」

「リズ!・・・よかった、無事だったんだ」

「サキ!?え、どうして・・・」

そのまま俺達は帰る・・・途中。

「まったく・・・心配したんだからな」

「たはは・・・ごめんごめん。ちょっとドラゴンの巣に落ちちゃってさ・・・」

「・・・つかリズ。何でキリトと一緒にいるんだよ」

「え?ああ、そのオーダーメイドを頼まれてね。クリスタライト・インゴット・・・金属を取りに来たのよ」

「・・・なるほどね。アイツに変なことされなかった?」

「変なことされてたら、今頃キリトはここにいないと思うけど?」

「・・・仰る通りで。・・・ま、リズにちょっかい出す気はないだろ。リズもアイツに惚れたりすんなよー」

「惚・・・!?」

リズの顔が赤くなる。・・・え?

「・・・マジ?」


「・・・(こくり)」

「(・・・う、嘘だろ・・・)」

いや、だって。言いたくないが、アスナも最近会話の主語に“キリト君”が多い。つまり・・・アスナも・・・ってことは何か?修羅場か?鈍感一名に対するアタック?まてまてまてまて、落ち着け。・・・なんて思考を混乱させている内にリズの店に到着し・・・俺は店に入らず立ち尽くす。

「(ど、どうする?リズに言うか?いや、でもそうしたらリズが・・・でも結局どっちかはキリトに・・・ああああ!?)」

『咲さん!ストップ、ストップッス!思考回路がショートしてるッスよ!』

「うぐぐ・・・」

「サキ?」


「え・・・」

振り返ると・・・アスナがいた。

「ア、アスナ・・・」

「お店が開いてる・・・よかったぁ、リズ帰ってきたんだ」

アスナは店に入ろうとする。

「あ、ちょっ!」

止めるのも間に合わず、ほぼ駆け足でアスナは奥の工房に行く(亮は店の武器を眺めていた)

「アスナ、まっ・・・」

「リズ!!心配したよーー!!」

「あ、アスナ・・・」

・・・間に合わなかった。二人が会話していて・・・

「リズが一人でダンジョン!?」

「ううん、あの人と・・・」

「き、キリト君!?」

「ええ!?」


あああ、最悪だ。

「や、アスナ。久しぶり・・・でもないか。二日ぶり」

「う、うん。・・・びっくりした。そっか、早速来たんだ。言ってくれればわたしも一緒したのに」

・・・そしてリズは見てしまった。キリトと話すアスナの顔を。笑顔で、少しだけ赤くなっているその顔を・・・一瞬、悲しげな表情をリズは浮かべたが・・・アスナに話し掛けられるとすぐ笑顔に戻る。


「・・・」

するとリズはアスナを連れて裏通りに向かっていった。俺はキリトを睨み・・・

「・・・何でお前は何時も・・・このアホ!」

「な、なんでいきなり罵倒するんだよ」

それに答えずに俺は、裏通りにあるオープンカフェに向かい、二人を発見する。

「・・・どうしたの、リズ・・・?」

カフェの陰からそのまま二人の会話を聞く。・・・聞き耳スキルなんて持ってないので不安だったが・・・平気なようだ。

「あの人なんでしょー」

リズの明るい声。だが、さっきの顔を見たせいで・・・それが演技にしか聞こえなかった。

「え、ええ?」

「アスナの、好きな人!」

「あ・・・・・・・・・うん」


・・・

『痛いッス!咲さん、両手は不味いッスー!』

「(あ・・・悪い)」

気がついたらリパルをあの二つに割るアイスの要領で握り締めていた。

「確かに、変な人だね、すごく」

「・・・キリト君、なにかした・・・?」

「あたしの店一番の剣をいきなりヘシ折ってくれたわよ」

余罪判明。あの野郎・・・ガチでシバくか。リズはとにかく明るい声で経緯をアスナに説明していく。そして・・・

「まあ、ヘンだけど悪い人じゃないわね。応援するからさ、頑張りなよ、アスナ」

「う、うん、ありがと・・・」

「・・・あ、いっけない!あたし、仕入れの約束があったんだ。ちょっと下まで行ってくるね!」

走り出す音。俺は反射的に飛び出していた。

「え、サキ?」

「ちょっとリズを追い掛けるよ。一人じゃ心配だし」

「あ、うん。・・・って今の話を聞いてたの!?」


「え・・・あー・・・その話は後で!」

「ちょっと、サキ!?」

・・・ああ、こりゃ盗み聞きした罰は説教かな。そう思いながら俺はアスナの視界から逸れる・・・カフェの死角の場所に急ぐ。そこに・・・


「うぐっ・・・うっ・・・」

・・・リズがいた。物陰に隠れるように、泣いていた。

「リズ」

声をかけるとリズの身体がビクッ、と反応する。

「サキ・・・何で来たの・・・こんなの、見られたくないのに・・・」

「友達を放ってはおけないよ」

俺はリズの隣に座る。

「・・・あたし、ね。キリトに・・・牽かれたの。一日あいつと一緒にいて・・・」

「・・・うん」

「でもね、アスナもあの人が大好きで・・・あたし、頭が真っ白になっちゃって・・・う、うぅ・・・」


「いいよ、俺で良かったら幾らでも吐き出して」

「う・・・うわぁぁ・・・!わぁぁん!」

リズが俺に飛び付き、泣きじゃくる。・・・そして・・・


「・・・落ち着いたか?」

「・・・うん」

リズは少しだけ笑う。

「・・・何かすっきりした。ありがとね、サキ」

「いや・・・まあ、あれだ」

「?」

「どうせリズはアスナが傷つくから・・・とか思ってるんだろうけど・・・そうだな、アニメだかゲームだかで聞いたんだけど、“友情で壊れる愛情は真の愛情じゃないし、愛情で壊れる友情は真の友情じゃない”」

「・・・え?」

「要するに、親友なら遠慮すんなってこった。それともキリトへの恋は勢いの恋か?」

「それ、は・・・」

すぐに否定しない・・・ということは完全に惚れたのだろう。・・・相手がキリトなのはアレだが。

「ま、失敗したらドンマイで。リズならもっとモテるだろうしな」

「変な慰めね。・・・でも、ありがとう、サキ」



俺は立ち上がり、背伸びする。

「・・・どうする?」

「もう少しだけ・・・気持ちを落ち着かせなきゃ、アスナやキリトに会えないよ・・・」

「・・・そっか。じゃあ俺は戻ってるから。落ち着いたら飯食いに行こうぜ」

「・・・うん」

俺はその場から離れた・・・時、目の前に元凶がいた。

「げ・・・」

俺を見るなりキリトはそう言う。

「げ・・・とはご挨拶だな。・・・リズなら向こう、用があるならとっとと行け。あと・・・」

俺はキリトに近づき一言。

「次、余計なことしたら・・・アインクラッドから放り捨てるからな」

「わ、わかった」


そのまま行こうとするが・・・ふと、気付いた。

「そういや、リズに何を造って貰ったんだ?」

「あ、ああ・・・」

キリトはメニューを操作し、一本の剣を取り出した。

『「あ・・・!」』

俺とリパルは同時に声を出す。だってその剣は・・・

「ダーク、リパルサー・・・」

「え、何で知ってるんだ?」

そりゃ、ずっと前からその武器を知ってるからだ。リパルと違い、その刀身や柄は白く輝いている。そうだ・・・あの時も・・・こんなに輝いていたな・・・

「・・・どうした?」

「いや・・・何でもない」

今度こそ俺は離れる。

「リパル・・・あれ、お前だよな」

『そうッスね・・・オイラと同一の剣。暗闇を払うもの・・・』


「・・・やっぱり、リパルはこの世界が故郷でもあるんだな」

『そうッスかね・・・』

「ま、アレがダークリパルサーなら性能はいいだろ。ほら、行くぜリパル」


『ッス』


・・・それから、盗み聞きした罰でアスナと約束でリズとに飯を奢って帰った。・・・・・・・・・そして・・・時は今・・・ゲームスタートから二年・・・始まりへと戻っていく・・・



 
 

 
後書き

「随分パニクったね、今回」


「うるせぇ。つかお前のアホ兄貴を何とかしろっての」


「・・・無理」


「おい・・・」


「だって俺らも人のこと言えないし」


「うぐ・・・」


「それじゃ、次回もよろしく!・・・ようやく一巻に戻るな」

 
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