八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百三十話 時代も場所も越えてその六
「やっぱりね」
「侵略よね」
「もうそのイメージよ」
「実際侵略されてたしね」
「だからね」
侵略を行ったからだというのだ。
「あそこまでの大帝国を築かれたのよ」
「攻めに攻めて」
「あっという間によ」
「モンゴル帝国を築いたわね」
空前絶後と言われたこの大帝国をとだ、コゼットも言った。それはまさに人類史上最強の国であった。
「そうだったわね」
「けれど今のモンゴル人はね」
「平和よね」
「平和過ぎてね」
ナンは笑ってこうも言った。
「連合一の田舎とかね」
「ああ、それ言われるわね」
コゼットもそれはと返した。
「実際に」
「そうよね」
「皆草原で暮らしていて」
「大都会も大農園もない」
「大牧場もね」
「一大工業地帯も」
「縁がない」
そうしたというのだ。
「国だってね」
「実際そうしたところは他の国と比べてね」
「力入れてないわね」
「連合の他の国はあらゆる産業の発展に躍起になってるけれど」
だから毎年二桁の成長率を維持しているのだ。
「モンゴルはあくまでね」
「草原で暮らしていて」
「発展もそんなにだから」
力を入れていないというのだ。
「だからよ」
「連合一の田舎っていうのも」
「否定しないわ」
「そうなのね」
「それでのどかでね」
それでというのだ。
「平和よ。連合一の国になるとかね」
「野心もないのね」
「草原で平和で暮らせたら」
ナンは今のモンゴル人の考えを述べた。
「それでね」
「いいのね」
「そうしたお国柄で」
そうなってというのだ。
「もうね」
「チンギスさんもなの」
「平和よ、というか連合お決まりの中でのごちゃごちゃをご覧になられて」
「それを一つにしようってなの」
「思われて」
そしてというのだ。
「動かれるから」
「だから選挙なのね」
「選挙があったら」
民主主義の代名詞であるそれがというのだ。
「当選すればいいでしょ」
「一言で言うとね」
コゼットもその通りだと答えた。
「落選したら元も子もないけれど」
「チンギス様はカリスマだから」
「もう中央政府大統領もなのね」
「高校卒業されてすぐに出られて」
そしてというのだ。
「得票率百パーセントでね」
「当選ね」
「そうされたから」
「侵略なんてことは」
「一切ね」
それこそというのだ。
ページ上へ戻る