八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百三十話 年越し蕎麦その十四
「有り難いですね」
「そうですよね」
「嬉しい悩みとはです」
「このことですね」
「左様です、では」
「皆が来たら」
「一緒に召し上がりましょう」
その年越しそばをというのだ。
「そうしましょう」
「わかりました」
「一から打っています」
小野さんがまたお話してくれた。
「今日のお蕎麦は」
「手打ちですか」
「私が打ったのではないですが」
「あっ、八条家のですね」
「和食の人の中で、です」
「蕎麦打ちの人もおられますね」
「他のお料理も出来ますが」
それだけでなくだ。
「お蕎麦がです」
「本来の人がおられましたね」
中森さんだ、実際に蕎麦職人の人でこの人が打ってくれたお蕎麦はコシも風味も全く違うものになっている。
「その人にですか」
「お願いしまして」
「お蕎麦を打ってもらいましたか」
「おつゆは直伝です」
その中森さんのというのだ。
「ですから」
「美味しいですね」
「はい」
実際にというのだ。
「ですから」
「今日のお蕎麦はですね」
「絶品ですので」
「それを食べて」
「お参りに行って下さい」
「そうさせてもらいます」
僕は小野さんに笑顔で応えた。
「今年最後のお食事は」
「その様にただアレルギーの人は」
蕎麦アレルギーの人はというのだ。
「おられないので」
「八条荘にはですね」
「有り難いです」
これまで何度も皆お蕎麦を食べているけれどそうした人はいない。
「そのことは」
「やっぱりアレルギーがありますと」
「食べてはいけないですね」
「アレルギーを馬鹿にしてはいけません」
決してという返事だった。
「それは」
「そうですね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「そうした方はです」
「食べたらいけなくて」
「それで、です」
「安心してですね」
「私もお蕎麦をお願い出来て」
その中森さんにだ。
「そしてです」
「おつゆとかもですね」
「作ることが出来ました、では」
「今日は」
「召し上がって下さい」
僕に笑顔で言ってくれた、そして。
八条荘の皆も続々と食堂に来た、そうして今年最後の晩ご飯を食べた。
第三百三十話 完
2021・5・1
ページ上へ戻る