八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百三十話 年越し蕎麦その十一
「ですから」
「関西のおつゆで」
「噛みます」
ざるやせいろはだ。
「そうなります」
「僕もそうですしね」
「お蕎麦はおつゆを多く漬けてですね」
「それで嚙みます」
そうして食べる。
「そうしますので」
「だからですね」
「江戸っ子の食べ方は。それに」
さらにだ。
「量も」
「あちらのお蕎麦は量も少ないですね」
「そうなんですよね」
「あちらではお蕎麦はおやつでした」
「主食ではなくて」
「小腹が空いた時に食べるもので」
それでというのだ。
「量もです」
「少ないですね」
「三河町の半七もです」
捕物帳の主人公の一人だ、温情家であるが取り調べの時はドスの利いた凄みを見せることでも知られている。
「捜査の時は鰻か蕎麦をよく食べますが」
「好物ですか」
「はい、それでおやつとして」
「ご飯じゃないんですね」
「あちらでは」
「関西じゃご飯ですけれどね」
その時に食べるものだ。
「あとおうどんは」
「おかずですね」
「そうですけれどね」
うどん定食なんてものがある位だ。
「それでもですね」
「はい、あちらではです」
「そうなっているんですね」
「これも食文化の違いですね」
「あっちではお好み焼きも、いや」
僕はすぐに自分の言葉を訂正した。
「もんじゃですね」
「あちらになりますね」
「もんじゃもあまり食べたことないです」
一回や二回位だ。
「お好み焼きですね」
「関西だとそうですね」
「お好み焼き定食です」
何といってもだ。
「それで焼きそばも」
「定食としてですね」
「おかずで」
まさにそれでだ。
「食べますけれど」
「関東ではそれがないです」
「お好み焼き定食もないんですよね」
「焼きそば定食も」
「それでうどん定食も」
「ないのです」
関西と違ってだ。
「左様です」
「そうですよね」
「そしてもんじゃもです」
「おやつなんですね」
「そうなのです、お蕎麦もで」
こちらもというのだ。
「おやつなのです」
「本当に食文化の違いですね」
「味だけでなく」
「本当に違いますね」
「そしてこれから」
「そのお蕎麦をですね」
「食べましょう」
関西のそれをというのだ。
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