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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三十話 年越し蕎麦その七

「らしいね」
「俺らしいだろ」
「うん」
 こう返した。
「言う通りにするところはね」
「有言実行なんだよ、俺は」 
 また電話の向こうで笑ってきた。
「だからな」
「それで、だよね」
「お前に言うからにはな」
「しっかりとだね」
「俺もするんだよ」
「だから寝るんだね」
「毎日な」
 それが少しの時間でもというのだ。
「睡眠は本当に摂らないと駄目だからな」
「そうだよね」
「だからさっきまでな」
「実際に寝たんだね」
「それで元旦に飲んで食ったらその時もな」
「寝るね」
「ああ」
 実際にというのだ。
「そして朝になったら母さんとな」
「行くんだね」
「そうしてくるな」
 京都の神社の何処かにというのだ。
「楽しくな」
「お袋が戻って来てよかったね」
「お前もそう思うだろ」
「親父生き生きとしてるよ」
 僕が見てもだ。
「だからね」
「そうだろ、俺もそう思うよ」
「お袋と一緒だとね」
「全く違うさ」
 それこそという口調だった。
「人生自体がな」
「明るくなったね」
「これまで以上にな、だから今日もそうでな」
「明日もだね」
「最高の元旦を過ごすさ」
「そうだね、そうしてきてね」
 息子の僕もこう言った。
「久し振りに一緒になったんだし」
「これからはずっと一緒だよ」
「そうだね」
「ああ、もう離れないからな」
「おかしな人達から引き離したし」
「やっと居場所がわかってな」
 それでというのだ。
「これからもな」
「二人でだね」
「暮らすね」
「そうするな」 
 二人でこう話してだった。
 僕達は電話でのやり取りを終えた、僕はそれから少し寝た。そして夜になると扉をノックする音が聞こえてきた。
「宜しいですか」
「畑中さんですか?」
「はい」
 その通りという返事だった。
「私です」
「晩ご飯ですか」
「その時間になりました」
「ベルはまだ鳴ってないですけれど」
「ですが」
 それでもというのだ。
「今日は特別なので」
「大晦日だからですか」
「はい、そろそろと思いまして」
「起こしてくれますか」
「宜しいでしょうか」
「今起きます」
 着のみ着のままベッドの中にいた、それで寝ていた。だから起きるについてもすぐに起きられた。それでだった。 
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