八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百三十話 年越し蕎麦その六
「酔い潰れるまで飲んでもな」
「お外ではだね」
「酔い潰れないからな」
「そうするんだね」
「それで少し寝て風呂にも入って」
それですっきりしてというのだ。
「お参りしてくるな」
「そうして楽しんでくるんだね」
「それでお前はちょっと寝たか」
「今から晩ご飯まで寝るよ」
「そうしろ、少しでも寝るとな」
そうすると、というのだ。
「全く違うからな」
「完全に徹夜するよりも」
「徹夜は身体にかなり悪いからな」
「寿命縮める位にね」
「昔の巨匠って呼ばれた漫画家さんがどうして早死にしたか」
それはというのだ。
「手塚治虫さんや石ノ森章太郎さんだね」
「藤子不二雄Fさんもな」
「どの人も六十少し位で」
「ぽっくりだっただろ」
「そうだったね」
「三日連続で徹夜して漫画描くとかな」
ここに挙げられた人達は実際にそうしてた。
「相当寿命を縮めて」
「そうなって当然だね」
「俺は医者だからそんなことは絶対に止めるからな」
「身体に本当に危ないから」
「だからな」
それでというのだ。
「それは止めるな」
「絶対にだね」
「ああ、そしてな」
それでというのだ。
「お前もな」
「そんなことはだね」
「するなよ」
「ちょっとでも寝ることだね」
「あの人達は多くの名作を残したさ」
手塚治虫さんは普通の人の百五十年分の仕事をしたと言われている、まさに不眠不休の激務の結果か。
「けれどな」
「それでもだよね」
「ああ、それでも六十ちょっとってのはな」
「早過ぎるね」
「人間の寿命としてはな」
どうしてもというのだ。
「人間やっぱり長生きしないとな」
「駄目だね」
「そのちょっとの睡眠ががな」
まさにそれがというのだ。
「寿命をだよ」
「伸ばすね」
「ああ、だからお前もな」
「寝ることだね」
「よく寝ればそれでいいがな」
「少しでもだね」
「寝ることだ、毎日な」
僕にくれぐれもという口調で言ってきた。
「禅宗のお坊さんはあまり寝ないけれどな」
「それも修行だね」
「欲を抑えるからな」
「睡眠欲もだね」
「その人達でも寝ているからな」
毎日そうしているというのだ。
「それであの人達長寿の人多いな」
「規則正しい生活してるしね」
「それで短くてもな」
「ちゃんと寝ているから」
「いいんだよ」
「そうだね、やっぱり寝ないと」
本当にだ。
「駄目だね」
「そのことも覚えておくんだ」
「だから今日もだね」
「寝ろ、俺も寝た」
「昼寝してたんだ」
「実はさっきまでな」
「そうだったんだね」
親父のそうしたところに思わず笑って返した。
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