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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二十九話 冬のお庭でその十

「お寺ともね」
「縁があるでござるな」
「それで神社にもね」
 こちらにもだ。
「あるしね」
「ではどちらにお参りしてもいいでござるな」
「そうだよ」
「安心したでござる、忍者はどちかに行かないと駄目とかでござる」
「考えていたんだ」
「そうだったでござるが」
 僕にほっとした顔で話してくれた。
「安心したでござる」
「それは何よりだよ」
「では行って来るでござる」
「それじゃあね」
「感謝するでござる」
 僕に今度は笑顔でお話してくれた、そしてだった。
 マルヤムさんも別れた、それで自分の部屋に入って坂口安吾の本を読みはじめたが一時間位するとだった。
 気分転換をしたくなって八条荘のベランダに出た、するとそこに日菜子さんがいて僕を見ると声をかけてきた。
「気分転換で?」
「こっちに来ました」
「そうだったの」
「はい、本を読んでいて」
「読書してたの」
「少し」
「誰の本読んでたの?」
 僕に明るい声で聞いてきた。
「それで」
「坂口安吾です」
「また破天荒は作家さんね」
「坂口安吾はそうですよね」
「破滅型よね。あの人」
「無頼派に入っていて」
 作家としての類型だとだ、太宰治や織田作之助と同じだ。
「実際に人生も」
「お酒やって麻薬やってね」
「無頼でしたしね」
「そうよね。私はああした生き方はしまいと思ってるけれど」
「お酒やって麻薬もやって」
「特に麻薬はね、だからあの人の本読んだことないけれど」 
 それでもというのだ。
「読書自体はね」
「いいことですね」
「ええ、だからね」
「坂口安吾読んでもですね」
「いいと思うわ。ちなみに彼氏は純文学は川端よ」
「川端康成ですか」
「あの人が好きでね」
 それでというのだ。
「よく読んでるの」
「そうですか」
「それで今夜もね」
「その人とですか」
「お話するわ。私も最近読んでるし」
 川端康成の本をというのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「後でまた読むわ」
 僕にこう話してくれた。
「雪国ね」
「ああ、あの代表作ですね」
「丁度今読んでいてあと少しでね」
「読破しますか」
「ええ、だからね」
「今日のうちに読まれて」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「行ってね」
「雪国のお話もされますね」
「ええ、ただ読んでみたらね」 
 日菜子さんは僕にこうも言ってくれた。
「川端康成も面白いわね」
「旅行に行きたくなりますといいますか」
「そうよね」
「伊豆の踊子なんかそうですね」
「だから今楽しく読んでるわ」
「雪国も」
「そして読み終わってね」
 そしてというのだ。 
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