八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十八話 大晦日その十一
「日本にいてくれるんだ」
「少なくとも大学出るまでこっちよ」
「そのつもりだね」
「ええ、何年かはね」
こう僕に話してくれた、そしてだった。
ダオさんは自分の部屋に戻った、すると今度は。
詩織さんがふと来て僕に言って来た。
「この一年色々あったわね」
「そうだね」
僕は詩織さんに笑って応えた。
「僕なんか一旦お家なくなって」
「それでこここに入ったのよね」
「そうなんだ」
「そう思うと波乱万丈ね」
「親父が急にいなくなって」
何時の間にかイタリアにいてだ。
「それで今に至るからね」
「本当に色々あったわね」
「色々あり過ぎて」
それでだ。
「嵐みたいだったよ」
「大変なことも多かったかしら」
「大変かっていうと」
そう言われるとだ。
「凄い時もあったけれど」
「お母さんを取り返した時とか」
「親父についていってね」
「それはもうドラマみたいね」
「けれどあの時も僕はついて行っただけで」
本当にそれだけでだ。
「これといってね」
「何もしなかったの」
「そうだったからね」
僕自身はだ。
「だからね」
「特になの」
「大変だったことはないよ、畑中さんや小野さんもいつもいてくれたし」
それで相談に乗ってくれてだ。
「親父の話も聞いたし学校やここに皆いてくれたから」
「それでなのね」
「別にね」
これといってだ。
「大変じゃないよ」
「そうだったの」
「特にね」
「私から見れば大変だけれど」
「僕自身はね」
「そうなのね、まあ義和がそうなら」
詩織さんは僕に微笑んで話してくれた。
「そうなのね、それで今日は」
「うん、言ってくるよ」
「お寺とかね」
「同じね、じゃああっちで会ったらね」
「その時はね」
「宜しくね」
僕に笑顔で言って別れた、そして今度は小夜子さんが僕の前に来た。この時小夜子さんはお抹茶を持って来た。
「飲まれますか」
「あっ、お茶なんだ」
「あったりますが」
「有り難う」
僕は小夜子さんに笑顔で応えた、小夜子さんは僕の隣の席だけれど相席しなかった。相手の人がいるからこその配慮だとわかった。相席するのは交際している人だからだ。
それで小夜子さんは僕に言ってきた。
「お抹茶はいいですね」
「飲むと目が覚めますね」
「そうなんだよね」
「味もよくて」
「しかもビタミンが豊富で」
「いいよね」
「はい、ですから私もです」
小夜子さんもというのだ。
「家が茶道をしていることもありますが」
「好きなんだね」
「いつも茶道の練習も兼ねて自分で淹れて」
そうしてというのだ。
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