恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百八話 怪物達、世界を語るのことその十
「それだけで随分違うしのう」
「準備も結構かかりそうだしね」
アンディは出陣の準備についても言及した。
「その間に時間を見て」
「そうするとするか。水着を用意しておくか」
水着の話にもなる。かくしてだ。
泳げない者達に水泳を教えることにもなった。その中でだ。
兵達は半ば強制的に泳がさせられる。そうして口々に言うのだった。
「水苦手だよ」
「俺もだよ」
こうだ。口々に言うのである。
「泳げないのにな」
「それでこれってな」
「別に泳げなくてもいいのにな」
「嫌な話だぜ」
「全くだよ」
「不平を言ってはならない!」
しかしだ。ここでだ。
コーチをしているキムがだ。彼等を叱咤したのだった。
そのキムも見てだ。兵達は悲嘆にくれたのだった。そして言うことは。
「せめて教えてくれる人位な」
「女の将軍にしてくれよ」
「何でキムさんなんだよ」
「しかもジョンさんまで一緒かよ」
コーチの人事には何の容赦もなかった。
「しかも泳ぎもいけるって手を挙げてきてだよな」
「難儀な話だよ」
「いつもいつもな」
「困った人達だよ」
おまけに志願だった。キムとジョンはだ。そのことがだ。兵達を余計に鬱にさせていた。しかもその教育があまりにもだった。
「これから一刻休みなしで泳ぐ!」
「それから滝を昇ります」
「素潜りは十分を気が済むまでする」
「食事は水の中でします」
「死ぬって、それ」
兵達が唖然としながら言う。
「何処までえげつないんだよこの人達」
「こりゃ俺達死ぬかもな」
「水魏のお姉さんもいないしな」
このことが最も大きくだ。彼等は。
暗澹としながら泳ぎの訓練をだ。出陣の用意の間受けていた。尚出陣の用意もしながらだ。泳ぎの訓練も受けさせられていたのだ。
それを見てだ。臥龍は唖然としながら自分の子分にこう言った。
「いや、俺は今な」
「何でやんすか?親分」
「今程泳げることに感謝したことはないぜ」
「泳げないとあれでやんすからね」
子分もしごかれまくる兵達を見て言う。
「水地獄でやんすよ」
「地獄は労働と修業だけで充分だよ」
彼等が今受けている二つの地獄である。
「ここで水まで来た日にはな」
「最悪でやんすね」
「そうだよ。だからだよ」
それでだというのだ。
「いや、感謝することしきりだよ」
「全くでやんすね」
「まあ旦那の御先祖様もいるしな」
「従兄弟もでやんすよ」
キム一族の血は濃い。
「だから気を抜かずに真面目に働くか」
「さもないとやっぱり袋でやんすよ」
それは変わらないのだった。こうしてだ。
臥龍達は泳げることに幸せを感じながらだ。出陣の用意をしていた。
そしてだ。彼等はだった。
出陣の用意を進めていくのだった。決戦の為の。
第百八話 完
2011・9・9
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