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八条学園騒動記

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第六百二十八話 冷気と風その六

「何しろ生活自体が軍事訓練だから」
「それでよね」
「滅茶苦茶強かったのよ」
「スパルタ人にも負けていない」
「そこまでね」
「その自信があるのね」
「あるから言うのよ」
 まさにというのだ。
「あんなのはね」
「スパルタ人は」
「無理してね」
 そうしてというのだ。
「やってるだけでね」
「無理して強くなってるの」
「そうした連中よ」
 こう言うのだった。
「所詮はね」
「スパルタ人って文字通りね」 
 コゼットは真剣な顔でお茶を飲みつつ述べた。
「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」
「実際にそうしていたしね」
「弱いと思った子は」
 文字通りにだったのだ。
「殺す」
「そんな風でね、それでお年寄りになるまで」
「徹底的に鍛えぬいてね」
「贅沢も」
 ナンも言った。
「まさにね」
「しなかったわね」
「もう贅沢は敵」
「絶対のタブーだったわね」
「それであくまで戦争ばかりで」
「もう鬼の様に鍛え上げていたけれど」
「あれは無理してね」
 そしてというのだ。
「やってたんでね」
「何てことはないの」
「こっちは自然によ」
 ナンはモンゴルのことを話した。
「草原でね」
「暮らしていたのね」
「そうよ、あんな無理をしないで」
「自然に草原の中で暮らしていて」
「強かったのよ、贅沢なんてね」
 スパルタ人達が徹底的に忌み嫌ったそれはというと、尚厳しい教育をスパルタ式と言うのはこの時代でも同じだ。
「最初からね」
「なかったのね」
「草原にあるのは草とね」
 そしてというのだ。
「馬と羊だけよ」
「それで贅沢とかは」
「ある筈ないから」
 それこそというのだ。
「だからね」
「最初からなのね」
「モンゴル人は知らなかったし」
「贅沢を」
「スパスタ人が嫌ってたのはあったし知ってたからでしょ」
「そうね」
 それはとだ、コゼットも頷いて答えた。
「言われてみると」
「けれどね」
「モンゴルにはなのね」
「なくてね」 
 最初からというのだ。
「それでよ」
「暮らしていて」
「谷に突き落とすことも」
 自分の子供達をというのだ。
「しなかったわよ」
「ライオンみたいに」
「実際のライオンしないでしょ」
「絶対にね」
 コゼットもそれはと答えた。 
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