恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百六話 夏侯惇、妹を救うのことその一
第百六話 夏侯惇、妹を救うのこと
定軍山での戦いは続いていた。
ラルフもクラークもだ。拳を振るい続けている。
その中でだ。白装束の者達を次々に薙ぎ倒す。しかしだった。
「おい、まだ減らないな」
「ああ。どれだけ出て来るんだ」
クラークがラルフの言葉に応える。
「減らないどころかな」
「増えるか?」
「そう思うけれどな」
クラークはそう見ていた。
「余計にな」
「都での戦いの時もえげつなかったがな」
「今回もあれだな」
「ああ、洒落にならないな」
「百人位じゃ何とかなってもな」
クラークはその蹴りで白装束の者を一人吹き飛ばしてから言う。
「千人も二千人にもとなるとな」
「辛いなんてものじゃないな」
「楽しくはあるがな」
クラークは何とか余裕を見せようとする。しかしだ。
その顔に笑みはない。ラルフもだ。
次第に疲れが見えてきていた。その二人にだ。
レオナがだ。こう言ったのだった。
「あの」
「んっ、何だ?」
「どうしたんだ?」
「これをどうぞ」
こう言ってだ。二人に投げ渡したものは。
干し肉だった。それを渡してからだった。
「食べて下さい」
「これを食ってか」
「戦い続けろっていうんだな」
「食べるとそれだけで過度の緊張がほぐれます」
だからだというのだ。食べろと。
「それに空腹は戦いの最大の敵です」
「そうだな。暫く戦ってばかりだしな」
「食うのも大事だな」
「はい、では」
レオナもだ。その手にだった。
干した果物を出してだ。食べるのだった。
そして食べながらだ。両手から鎌ィ足を出して白装束の者達を撃つのだった。
そうしてだった。彼等は戦いながら食べそして生き残ろうとしていた。
その彼等のところにだ。秦兄弟が来た。彼等もまただった。
「おい、無事だったか」
「足はありますか?」
「そりゃ日本の幽霊の話だな」
クラークがリラックスした笑顔で彼等に応えた。
「アメリカの幽霊には足があるぜ」
「まあそれは中国の幽霊もだけれどな」
「鬼はそうですね」
中国では霊は鬼と呼ぶ。この言葉も出て来ていた。
「まあ日本の話だな」
「鬼に足がないのは」
「だよな。けれど生きてることは間違いないからな」
ラルフが笑って話す。
「じゃあ最後の最後までな」
「ああ、絶対にな」
「生き残りましょう」
秦兄弟も応えてだ。彼等もだった。
戦い生き残ろうとする。その中でだ。
夏侯淵はだ。オロチの三人と戦い続けていた。
クリスと戦いながらだ。彼女は言った。
「小さいこともだ」
「そうだよ。武器だよ」
悪戯っぽく笑いながら。クリスは夏侯淵に返す。
「色々攻められるからね」
実際にだ。突進してだった。
「下です」
「来たか」
夏侯淵の足下を狙う。その攻撃を。
夏侯淵は上に跳んでかわした。しかしその足下にだ。
クリスの青い炎があった。その技は。
「草薙の」
「そうだよ。大蛇薙だよ」
大蛇を倒すだ。その技だというのだ。
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