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ドリトル先生と幸せになる犬

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第四幕その十一

「人ではね」
「救えないですね」
「そのままその人は人間の一生を終えて」
 そうしてというのです。
「後はね」
「本物の餓鬼になるね」
「姿形も餓鬼になって」
「そして餓鬼として生きるんだね」
「次の一生では」
「ずっと餓えと渇きに苦しんでいてね」
 そうしてというのです、先生は動物の皆にお話しました。
「お腹の中ではいつも寄生虫が暴れているんだ」
「そうらしいね」
「餓鬼ってお腹の中に虫が一杯いるんだね」
「しかも只の寄生虫じゃなくて」
「蜂とかゴキブリとかムカデで」
「いつもお腹の中を刺したりしてね」
「凄く苦しむんだ」
 先生は皆にお話しました。
「いつもね」
「餓えと渇きに苦しんで」
「まともなものは一切飲み食い出来なくて」
「それで虫にも苦しめられる」
「爆発も起こるし」
「最悪だね」
「そうなるんだ、けれど餓鬼になる位の人は」
 そこまで心根が悪いと、というのです。
「どんな宗教でも哲学でも救われないね」
「今言ったよね」
「先生もね」
「そうなるって」
「実際に」
「そう、そんな人はね」
 それこそというのです。
「神も仏も信じないし哲学もね」
「聞かない」
「そんな人は聞いても文句ばかりだね」
「正しい知識を手に入れずに」
「そんなことばかりだね」
「自分だけでね」 
 それでというのです。
「そんな風だよ」
「あの娘の前のご家族は餓鬼かな」
「もうそこまで堕ちてない?」
「お話聞くとそうだし」
「それじゃあね」
「もうどうしようもないかもね」
「そうかも知れないけれどやってみる価値はあるし」
 先生はしめサバを食べつつ言いました。
「ヤクザ屋さんでも更正する人はいるね」
「これまでの行いをあらためて」
「確かにそうした人もいるわ」
「それじゃあそんな人達でも」
「行いをあらためるかも」
「心を入れ替えるかも知れない」
「僅かでも可能性があったら」
 それならというのです。 
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