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ドリトル先生と幸せになる犬

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第四幕その十

「殺処分もあるね」
「そんなところに捨てたんですね」
「里親を探すこともね」
「一切考えなくて」
「こうした愛情なんて全くないね」
「飼い主が世の中にいることは」
「本当に残念なことだよ」
 俯いたまま言うのでした。
「僕にとっては」
「それはそうですね」
「そう、だからね」
「反省してもらいたいですか」
「心からね」 
 そう思っているというのです。
「そうなってもらうんだ」
「それじゃあ」
「そう、だから」 
 それでというのです。
「ご家族にも言ったよ、ただ世の中どんな宗教でも哲学でも救えない人がいるね」
「どうしようもない人ですね」
「あまりにも心根が悪くて」
 その為にというのです。
「だからね」
「救われないですね」
「救いの手が出されて」 
 そうしてというのです。
「救われる場所に導かれても」
「それでもですね」
「うん、そこで不平不満しか考えないで」
「それで感謝もしないで」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「努力もしないでね」
「折角手を出してもらってその場所に入っても」
「それがどれだけいい場所でもね」
 それでもというのです。
「いられなくなって」
「出て行くことになりますね」
「そこがどれだけ楽園でも」
「楽園でも感謝も満足も出来ないで」
「不平不満ばかりでね」
「感謝も努力もしないで」
「そんな人だとね」 
 どうしてもというのです。
「もうどんな宗教でも哲学でもだよ」
「救われないですね」
「どうしようもないよ」
「そんな人もいますからね」
「世の中はね」
「救われない人は」
「人間では無理な人がいるよ」
 救うことはというのです。
「本当にね、けれどこうした人は流石に殆どいないから」
「そうですよね」
「ここまえ心根の悪い人はね」 
 どうしてもというのです。
「だからね」
「このこともですね」
「難しいことだよ」
「どうしても救われない人は」
「あまりにも心根が悪くてね、仏教だと餓鬼と呼ぶけれど」
「ああ、餓鬼道の」
「生きていてそこに堕ちた人達は」
 それこそというのです。 
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