物語の交差点
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とっておきの夏(スケッチブック×のんのんびより)
お泊まり会@一条家編(朝霞、ケイト)
・一条家・
朝霞「いやあ、花火は楽しかったですねー」
ケイト「イロイロ種類が選べたノガとてもヨカッタと思いマース!」
ケイトと朝霞、それに蛍は一条邸の蛍の部屋で話しをしていた。
花火から帰ってきてしばらく経つのだが、未だに花火の話しをしているところをみるとよっぽど楽しかったらしい。
蛍「前回やったときはたった1本の打ち上げ花火しか買えず皆さんに申し訳ないことをしてしまったので、今回はたくさん買ってもらったんですよ」
ケイト「デモ聞いたところにヨルト蛍を見に行ったんデスよね?」
蛍「はい。れんちゃんと水で濡らした笹の葉を持って立っていたらその葉にホタルがとまって…まさに蛍の花火って感じでしたよ」
朝霞「蛍の花火ですか、幻想的ですねえ」
ケイト「ソーいえばよく疑問に思うんデスが、花火と火花って漢字がひっくり返っただけナノニ似ても似つかないのはどうしてデスカー?」
首を傾げながらケイトが2人に尋ねた。
朝霞「えっ!? えっと…どうしてなんでしょうね……?」
蛍「うーん………。あ!」
しばらく朝霞と考え込んでいた蛍がなにか閃いたようだ。
蛍「ほら、火花って見方によっては花びらみたいに見えるじゃないですか。その花びらが集まったものが花火になるんですよ!!」
ケイト「デモ花火の英訳は“fireworks”デスよね。一方の火花は“spark”でアッテ“fire”も“work”も入ってイマセンヨ?」
蛍「花と花びらだって英訳はそれぞれ“flower”と“petal”で全然違うじゃないですか。似たようなものだと思いますよ?」
ケイト「ナルホド、ソウデシタカー。納得でーす!」
ケイトは笑顔でそう言った。
朝霞「あのケイトを納得させることができるなんて…蛍ちゃんは頭がいいんですねー!」
蛍「いやいや、そんな…」
朝霞「あれ、あの鉛筆立てって…」
朝霞は勉強机の上に置かれている鉛筆立てを指さした。鉛筆立てに猫耳がついた小鞠のようなキャラクターがついている。
蛍「えっ、あ…いや、えっと……」アセアセ
ケイト「オウ!小鞠じゃないデスカー?」
蛍「は…はい、あれは小鞠センパイをモチーフにして作った鉛筆立てです。名前を『ネコまり鉛筆立て』っていいます」
朝霞「やっぱりそうでしたか!可愛くできてますねー」
蛍「ありがとうございます」
ケイト「でもドウシテ小鞠がモチーフなんデスカ?」
ケイトが尋ねると蛍は少し苦い顔をした。
蛍「やっぱり気になりますよね…。実は私、生まれも育ちも東京でして。東京からこっちに引っ越してきてまだ1年も経っていないんですよ」
朝霞「えっ、そうなんですか!?」
蛍「はい。それで旭丘に来て初めて出会った人が小鞠センパイだったんです。あれは引っ越してきて3日目のことーーー」
ー回想ー
蛍『ペチ、お散歩行くよー!』
ペチ(飼い犬)『ワン!』
蛍の母『蛍ちゃん行ってらっしゃい。気をつけてね』
蛍『ママ、行ってきまーす!』ガチャッ
ー
ーー
ーーー
蛍『いい天気だねー』テクテク
ペチ『ワン!』
蛍『どこに行こう?まだこの辺りのことよく知らないから近場になるけどーーー』
ペチ『』ダッ
蛍『あっ、ペチ!走っちゃダメ!!』タタッ
?『きゃーっ!』ステン
蛍『あっ!すみません、大丈夫でしたか?』
ペチ『』ハッハッハッハッ
?『あ、はい。大丈夫…です……?』
蛍『もー、ペチ!急に走って行ったらダメだよー!!』
ペチ『クーン…』ションボリ
?『あ、あの!もしかして先日引っ越してきたっていう方ですか?』
蛍『はい!?そ、そうですけど…?』ビクッ
蛍(どうして私が引っ越してきたばかりだってことこの人知ってるの!? 初対面のはずなのに…。 )ドキドキ
小鞠『やっぱり“引っ越してきた人がいるらしい”っていう噂は本当だったんだ!私は越谷小鞠っていいます。よろしくお願いします!』
蛍『そ、そうだったんですね!私は一条蛍です。小鞠さん、よろしくお願いしますね』ホッ
小鞠『はい!ところで蛍さんは犬の散歩の途中ですか?』
蛍『そうなんですけど、ここに来てまだ間もないのでこの辺のことよく知らなくて…』アハハ
小鞠『それなら私が案内しますよ。地元ですし!』
蛍『え、いいんですか!?』
小鞠『はい!』
蛍『是非お願いします!ペチ、良かったね!!』
ペチ『ワン!』
ー回想終了ー
蛍「ーーーそれが私と先輩の初めての出会いでした。以降、様々なところで私を気にかけてくれていて…。もちろん私は他の人たちとも仲がいいし皆さんのことが好きなんですけど小鞠センパイは特別…というか」テレテレ
朝霞「なるほど、蛍ちゃんは小鞠ちゃんが大好きなんですねー」
ケイト「仲良きコトハ美しきカナ…。ジツニ麗しき友情デース!」ポンポン
ケイトが笑顔で照れている蛍の肩を優しく叩いた。
朝霞「それにしてもこの『ネコまり鉛筆立て』、本当によくできていますねえ。蛍ちゃんは工作が好きなんですか?」
蛍「はい。でも一番得意なのは裁縫ですかね」
朝霞「そうなんですか。私も工作が好きなんですよー!」
ケイト「神谷センパイはコレまでに幾多もの発明品を世に送り出してイマスカラネー」
蛍「そうなんですか!?」
朝霞「そんなに大したものじゃありませんよー。…あ、そういえば今日はお気に入りのものを持ってきているんでした」
蛍「本当ですか!ぜひ見たいです!!」キラキラ
蛍の目が輝いた。よほど興味があるのだろう。
朝霞「ちょっと待って下さいねー。ええと……あった!」ガサゴソ
朝霞は持参したトートバッグから漢字の「点」のようなものを取り出した。真ん中の四角の部分に顔が描かれている。
朝霞「漢字の“点”の下の部分って足みたいで可愛いですよねー。これはそこから着想を得て作った『点ちゃん』です!」
蛍「わあ、可愛いですね!」
ケイト「ノンノン、蛍。コレにはまだ隠されたギミックがアルノデース!」チッチッチッ
ケイトが指を横に振りながら言った。
朝霞「そうなんです。このまま置いても可愛いんですけど、この裏のネジを回して放すと…!」キリキリ
点ちゃん「」シャカシャカ
朝霞がネジを回して手を放すと点ちゃんが走り出した。
朝霞「ご覧のとおり動きます!」
蛍「すごい!朝霞さんよく考えつきますねー!」パチパチ
朝霞「ありがとうございます!こういうのは閃きですね。アートに実用性求めちゃダメですよ」エヘヘ
蛍に褒められ、朝霞もまんざらでもないようだ。
蛍「私も何か作りたいですね。今まで『ネコまり鉛筆立て』、『こまぐるみ』、『メカこまぐるみ』と作ってきたからなあ。次は何を作ろう…?」ウーン
ケイト「そーいえば夏海がマペットをヨク作ってマスネー」
蛍「マペット?手を入れてパクパクするアレですか?」
ケイト「ソウデース」
蛍「マペットかあ…でも作り方が分からないんですよねー」
ケイト「蛍は裁縫が得意デシタヨネー。夏海にマペット作りを教わったらどうデスカー?」
朝霞「ああ、麻生さんも『誰かとマペットば作って一緒に遊びたかー!』って言ってましたし丁度いいかもしれませんねえ」
蛍「いいですね、私はマペット作りが覚えられて夏海さんも満足できる。まさに一石二鳥です!」
ケイト「ジャア明日、夏海にお願いしてみまショー!」
蛍「はい!」ニッコリ
蛍は笑顔で答えた。
ーーー乙女たちの女子会は深夜まで続いたという。
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