八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十四話 総帥さんその七
「そうしようね」
「わかったわ」
香織さんも頷いてくれた。
「それじゃあね」
「そうしようね」
「是非ね」
「お餅はどんどんつかれてるし」
今年も順調だ、凄い数のお餅がどんどんつかれていっている。
「総帥さんももうすぐここに出られるよ」
「出られるっていうと」
「今はお屋敷におられるんだ」
洋館、宮殿の様なその中にだ。
「それでお仕事をされてるんだ」
「もう年末なのに」
「大切な人とお会いされてるんだ」
「そうなの」
「もう総帥といっても名誉会長でね」
長男さんがグループの会長になられていてだ。
「それで書類仕事もね」
「されていないの」
「昔よりずっとね、けれどね」
「大切な人とはなのね」
「お会いすることはね」
流石に書類仕事や普通の会議には、となっているけれどだ。
「されていて」
「それでなのね」
「今もね」
「お会いしていたのね」
「何かタイの王室の関係者らしいから」
「えっ、タイ王室の」
「あそこのね」
日本の皇室とも関係が深い、ラーマ十世陛下は秋篠宮殿下を日本の我が子と呼ばれていた位である。
「結構近い人らしいから」
「そうなのね」
「だからね」
「そんな人が来られたから」
「総帥さんがね」
「お会いして」
「お話されていたんだ」
こう香織さんに話した。
「けれどそのお話も終わって」
「それでなのね」
「今からね」
「お餅をつかれるのね」
「そうなんだ」
「成程ね」
「楽しみにされているから」
毎年そうだからだ。
「もうすぐ出て来られるよ」
「それでつかれるのね」
「うん、そうされるよ」
こう言っているとだ、背筋のしっかりした一七〇位の白い髪の毛の方が出て来られた。お髭はないけれど明治帝に似ている感じだ。
その人を見てだ、香織さんは僕に聞いて来た。
「あの人が」
「そう、一族の長でね」
「グループの総帥さんなのね」
「そうなんだ」
こう香織さんに答えた。
「あの人がね」
「そうなのね、何かね」
香織さんはその総帥さんを見ながら僕に言ってきた。
「明治天皇に似てるわね」
「それ香織さんも思うね」
「あの方がお歳を召された感じね」
「よく言われてるんだ」
一族の中でもだ。
「似てるって」
「そうよね、ただ私服だから」
地味な緑が買ったグレーのセーターにダークブラウンのスラックスという格好だ、全部グループの服だ。
「そんな目立つ感じじゃないわね」
「さっきまでタキシードだったと思うよ」
「タイ王室の関係者とのお話だったから」
「それでね」
まさにその為でだ。
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