| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百七話 同盟という選択その十三

「ベトナムの方がやな」
「ズー先輩にしても」
「カイの兄ちゃんにしてもな」
 彼も然りというのだ。
「あの国はこっちから仕掛けんと基本何もせんが」
「仕掛けられるとな」
「徹底的にやり返す国や」
「そうしたお国柄やな」
「それがこの世界でも同じやと」
「こっちにも言うてくるか」
「どうするかってな」
 こうリサールに述べた、すると。
 すぐにズーがカイを連れてマニラにやって来た、そのうえでお茶を飲みながらテレサとリサールに提案した。
「南洋と同盟結ばへん?」
「それ考えてたわ」
「ほな一心同体ってことで」
「いや、私は同性愛の趣味はないで」
「あたくし様もや、冗談ってことや」
「そうかいな」
「そやで、シルキーと天使でも結婚出来るけど」
 この世界では異種婚もある、ただし子供は出来ない。これは外見が似ている人間やエルフ、ドワーフ、ホビットの間でも同じだ。尚今ズーはシルキーの海豹の毛皮を脱いでいて人間の姿で普通に話をしている。
「あたくし様もやから」
「悪い冗談やな」
「せやろか」
「私にとってはな」
 その趣味がないからだというのだ。
「そやった」
「ほなこれからは言わんな」
「そうしてもらいたいわ、それでやな」
 ズーは表情を少し真面目なものにさせてテレサに言ってきた。
「これからのあたくし様達のことをや」
「丁度そのお話をしようと思ってた」
「そこに来たんやな」
「前もやけどええタイミングやな」
「思ったら動くでな」
「来たんか」
「そやねん、すぐに考えてすぐに動く」
 思考と行動の間に決断があるのは言うまでもない。
「そうして生き残るのがや」
「ベトナム人やな」
「そうやささいな」
「自分達から来たんやな」
「そやで、正直二国だけやとどうにもならんわ」
 ズーはテレサが考えていることをそのまま言った。
「ほんまな」
「それでやな」
「そややらオセアニアとな」
「手を結ぶか」
「そうして前後から国家連合を挟み撃ちする形でや」
 それでというのだ。
「あたろうか」
「まさに私達が考えてたことや」
 テレサはズーの明るい口調での言葉に真剣な顔で応えた。
「それをもうかいな」
「いや、普通に考えるやろ」
「外交戦略としてか」
「遠交近攻が原則やからな」 
 外交戦略というものはというのだ。
「それでや」
「そうしたことをか」
「もう考えてたんや」
「そやったか」
「それでここに来たんや」
「これしかないかと」
 カイも言ってきた。
「そのまま国家連合に入ることをよしとしないなら」
「賊とモンスターの退治をさせられたことは癪や」 
 カイにはリサールが応えた。
「正直言ってな」
「そうですね」
「そのまま入るよりもな」
「一撃位はですね」
「やらんとな」
「やられたらやり返す」
 カイは笑ってこの言葉を出した、蝶の顔の目にある光がそうなっている。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧