夢幻水滸伝
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第二百六話 複雑な諸島その十三
「偶数で行く、奇数で行かんでな」
「それで偶数が出てか」
「こっちに来た次第や」
「そやな」
「ただこの賽子は特別な賽子で」
リサールは笑ってこうも言った。
「偶数しか出ん」
「イカサマか」
「いかさまもギャンブルには基本やな」
「ばれたら大事やけどな」
「それをばれん様にするもんやろ」
「確かにな」
「それでここに来たんや」
そうした賽子を使ってというのだ。
「そういう次第や」
「そのことも気に入った、ほなな」
「これからはフィリピンは二人でな」
「治めていこうな」
「それで先輩が主で」
「自分が副やな」
星の者でも序列がある、それでテレサもこう述べた。
「それでやってこか」
「是非な」
二人でこうした話をしてだった、その夜は。
宴を開きしこたま飲んで食ったがここでだった。
テレサはジョッキに並々と入れた赤ワインを気持ちよく飲みつつ豚肉料理を食べてリサールに対して言った。
「生きてるわ」
「それを実感するな」
リサールも赤ワインをジョッキで飲みつつ応えた。
「ほんまに」
「こうして飲むとな」
「そして食うとな」
「最高や」
「おいらもそう思うわ、博打で勝つ」
「その後はやな」
「こうしてや」
今度は鶏肉を揚げたものを食べつつ話した。
「居酒屋でな」
「盛大に飲んで食ってやな」
「楽しんでたな」
「ずっとそうしてた」
「お互いそこは外せんな」
「先輩もこうして飲んで食うのが好きやな」
「今言うた通りや」
それこそ生きていることを実感するまでだというのだ。
「ほんまにな」
「そういうことやな」
「一日の最後はな」
「こうして飲んで食って」
「いつも楽しんでる」
「それは何よりや。ただな」
リサールはここでだった。
これまでとはまた違う満足している笑顔になって話した、楽しんでいる笑顔からそうなった。
「こここにあるもん全部フィリピンの何処でもある」
「ご馳走でもないな」
「食材の質もな」
「私は飲んで食べれたらよくてな」
それでというのだ。
「別にや」
「贅沢はか」
「興味がないからな」
「それでやな」
「ああ、食材とかはな」
そうしたものはというのだ。
「普通のものでメニューもや」
「その辺りのもんか」
「太平洋と地下世界の星のモンでそんな贅沢モンおらんやろ」
「ほぼ全員大食漢で大酒飲みやけどな」
「量が大事でな」
それでというのだ。
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