夢幻水滸伝
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第二百六話 複雑な諸島その十
「これ以上はな」
「望まれていませんね」
「前もそう言われていましたね」
「ご自身はそこまでだと」
「器はな」
自分のそれはというのだ。
「それ位や、そやからな」
「それではですね」
「東南アジアの統一については」
「テレサ様はですね」
「かからん」
それはしないというのだ。
「まずはこの国を統一するけれどな」
「ではその後は」
「統一された後は」
「一体どうされますか」
「それからは」
「この国を守るけど」
それでもとだ、テレサは冷静だが微妙さを含んだ顔で周りに答えた。
「私一人で出来ることもな」
「限られていますか」
「ではフィリピンを統一されて」
「そして治められてもですか」
「それでもですか」
「そこから先はないですか」
「どうもな」
こう言うのだった。
「考えが及ばん、ただ今シンガポールを中心に国家連合が築かれてる」
「そうですね、シンガポールのリー様がそうされていますね」
「あの国を中心にそれが築かれています」
「それではですか」
「そちらに入りますか」
「いや、ただあそこに入ってもフィリピンはどうなるか」
自分そして周りの者達の国はというのだ。
「果たして」
「ただあちらに入っても」
「それでもですか」
「どうなるかわからない」
「それで、ですか」
「ただ入ることはしたくない」
こう言うのだった。
「ただ入ってこの国も民も下っ端扱いされるのはな」
「やはり立場がある」
「そうした国でありたいですか」
「それなりの」
「そうお考えですか」
「出来ればな、その為には一戦も考えてる」
鋭い目になって語った。
「私がな」
「そうされますか」
「戦われますか」
「その様にされますか」
「テレサ様が」
「そうも考えてる、私の器もわかってきた」
自分を見つめつつこの言葉も出した。
「私はフィリピン一国や、しかもな」
「しかも?」
「しかもといいますと」
「今は何とかやっていってるけどな」
それでもとだ、周りに自分のことをさらに話した。
「そろそろな」
「限界だというのです」
「まさかと思いますが」
「その様に」
「いや、フィリピン一国でぎりぎりでな」
それでというのだ。
「一杯一杯やな」
「そうなのですか」
「ではもうそれ以上は出来ない」
「余裕もないですか」
「そやからな」
それでというのだ。
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