八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十一話 戻って話してその十三
「それでもですね」
「本当に手を抜いた適当な番組ばかりで」
「知恵もお金もかけていません」
「そして情熱も感じられません」
「出て来るタレントさんも限られています」
「何か面白くない漫才師が多い様な」
僕が思うにだ。
「最近のテレビは」
「私が見てもそうです」
「私もですよ」
また二人で僕に答えてくれた。
「お笑いも面白くなくなりました」
「それでそうした人ばかりテレビに出ていますので」
「面白い筈がありません」
「しかもそうした人達は本業にも力を入れていないです」
「漫才師なら漫才、落語家なら落語ですが」
「そのどれにもです」
「練習すらしていないでそうした番組にばかり出て」
しかも所属事務所を見ればこれも決まっている、某大手のお笑い事務所ばかりだからこれでいい筈がない。
「お笑いも育っていないですね」
「昔のお笑いは気迫がありまして」
「気迫ですか」
「人を何としても笑わせる」
「その気迫がありましたか」
「今はお笑いで食べていってのし上がる」
小野さんの言葉は嘆いたものだった。
「のし上がることもいいですが」
「お笑いはその道具ですか」
「それだけで。笑わせようという気迫がです」
「ないんですね」
「はい」
そうだというのだ。
「そして練習すらです」
「していなくて」
「勉強もです」
これもというのだ。
「していないので」
「面白くないんですね」
「そうです、本物が少なくなった」
「そうした状況ですか」
「今のお笑いは」
僕にその嘆く声で話してくれた。
「まことに」
「駄目ですか」
「堕落しました」
畑中さんは無念の声で言った。
「実に」
「そうなったんですね」
「確か戦後マスコミも知識人も酷かったですが」
「お笑いは違ったんですね」
「面白かったです。昭和の終わりも」
この時もというのだ。
「よかったですが今では」
「面白くなくなりましたか」
「私はそう思います」
「私もです」
小野さんも言ってきた。
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