八条学園騒動記
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第六百二十二話 お茶だけでその三
「今はね、昔はね」
「昔は?」
「飲みものも甘くして」
「そこ私と同じね」
「そうして」
それでというのだ。
「飲んで食べていたけれど」
「今はなのね」
「飲みものはそうしてるの」
まさにというのだ。
「それがスタイルになってるわ」
「甘いものを食べてね」
七海は彰子のその話を聞いて言った。
「甘くないものを飲むのもね」
「いいでしょ」
「その対比もね」
「とてもね」
「私もたまにするわ」
七海はその小匙一杯だけ砂糖を入れたレモンティーを飲みつつ話した。
「コーヒーとかあえてブラックでね」
「お砂糖も入れないで」
「そうしてね」
「甘いものをいただくのね」
「これがメリハリが利いてね」
「どちらも美味しいわね」
「甘いものに甘いものもいいけれど」
これはこれでというのだ。
「メリハリがあるのもね」
「いいわよね」
「そう思うわ」
「そうだね、お抹茶に和菓子も」
菅は日本人だからかこの組み合わせを話に出した、安土桃山時代の千利休茶道を確立させた彼からのことである。
「この組み合わせもね」
「思いきり渋いお抹茶とね」
「甘いお菓子でね」
「この組み合わせがね」
「最高だね」
「そうなのよね」
七海は菅の言葉にもそうだと返した。
「これがね」
「日本はあれだね」
スターリングも言ってきた。
「お抹茶にお砂糖入れないね」
「お砂糖入れるのは他の国なのよね」
蝉玉も言った。
「日本では入れないのよね」
「そうなんだよね」
「それで冷やしもしない」
「そうして飲むね」
「うん、お抹茶はそうだよ」
菅は二人にそうだと答えた。
「本来はね」
「甘くしないでね」
「そのまま飲むのよね」
「冷やすのもしなくて」
尚甘くした場合は日本では抹茶と呼ばれないことが多い、その場合はグリーンティーと呼ばれるのだ。
「そのまま飲むんだ」
「茶道の作法でね」
「そうよね」
「そうだよ、ただね」
菅はさらに言った。
「甘くして冷やして飲むのもね」
「いいよね」
「そちらの飲み方も」
「うん、ただ茶道はね」
菅は今度はこの文化の話もした。
「堅苦しいって言われるね」
「実際そうだよね」
「何かとね」
「どうも入りにくいね」
「そんなイメージあるわ」
「実際そんなのないよ」
スターリングと蝉玉に話した。
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