鴨子
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第六章
それで私は彼女に苦笑いをして言った。
「あそこまではならなくていいと思うから」
「普通jに綺麗にすればいいわね」
「台湾人的にね」
こんな話をしながら私は今自分が少しだけ素直になったことに嬉しいものを感じていた、けれどそれは私にとっては難しくて。
そうならない時も多かった、この日もだった。
「プレゼント受け取らなかったの」
「ええ」
部屋で二人で飲みながらの話だった、私は台湾の強いお酒を飲みながらそのうえで彼女にキョウのことを話していた。
一緒に食べるのは屋台で買ったちょっとしたものだった、そうしたものを食べながらそのうえで彼女に話した。
「下心を感じてね」
「突き返したのね」
「投げ返しはしなかったわ」
流石にそれはしなかった。
「受け取らず返しただけよ」
「まあ投げ返したらそれで終わってたわね」
「そうよね。だからね」
そうしなかったというのだ。
「最初から受け取らなかったから」
「最悪jの事態はしなかったのね」
「そうよ。けれど彼は嫌な顔をしてたわ」
「それは当然でしょ」
彼女もお酒を飲んで家鴨の唐揚げを食べながら言う。
「やっぱりね」
「そうよね。けれどね」
「受け取れなかったのね」
受け取らないじゃなかった、そっちだった。
「そうだったのね」
「そうなの。受け取れなかったわ」
そうだった、実際に。
「素直になれなかったのよ」
「下心が見えて?」
「そうなの、それでなの」
「けれどそれってね」
彼女は私の話を聞いてからこう言ってきた。
「男の子なら誰でもよ」
「好かれたいっていう下心があるっていうのね」
「そういうものでしょ。あんただって何もなくてプレゼントとかする?」
「しないわ」
即座に答えられた、それは考えるまでもなかった。
「それはね」
「でしょ?ボランティアにしてもね」
まさにそれもだった。
「そういう気持ちもあるのよ」
「その場合の下心っていうjのはいいことをしていい気持ちになりたいっていうことよね」
「そう、そういう気持ちがあるから」
寄付や寄進が行われる、好意もそうした意味では下心があるというjのは考え過ぎではないと思う。
「でしょ?何でもね」
「プレゼントには下心があるのね」
「そういうものよ。だから彼のプレゼントもね」
「受け取るべきなのね」
「そう、殆ど無条件でね」
そうするべきだというjのだ。
「わかったわね。そうしてね」
「半分位そうしてもなの」
「半分以上にしたら?そろそろ」
これが彼女の提案だった。
「もうね」
「半分以上なの」
「少なくとも下心があっても」
それでもだった。
「それを受け取ることよ」
「誰もが一緒だから」
「そう。さもないとあんたずっと鴨子よ」
彼女は今度は家鴨の皮を焼いたものを食べていた。私は私でヒピータンを食べながらお酒を飲んで話を聞いている。
「それも嫌でしょ」
「うん、じゃあ」
「鴨子からね」
それからだった。
「素直になるのよ」
「じゃあ今度は」
「何でもいいから受けるの」
言葉で私の背中を押してきた。
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