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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百五話 ガルフォード、駆けるのことその九

「そうして固めましょう」
「そうね。そうすれば如何に司馬尉達といえども」
「動けないわ」
 だからこそだ。そうするというのだ。
「それでどうかしら」
「いいと思うわ」
 韓浩はこう蔡文姫に答えて頷いた。
「それでね」
「そうね。それじゃあね」
「策はなくとも的確なことをすれば」
「ことは成るわ」
 これが蔡文姫の考えでありやり方だった。
「だからね」
「そういうことね。じゃあそうして」
「麗羽達を待ちましょう。それにね」
「それに?」
「いつも一緒にいましょう」
 蔡文姫はその韓浩を見てだ。こう提案したんのだった。
「青珠達は最初からそうしているからいいけれど」
「ああ、あの娘達も留守を守っているわね」
「そうだからね」
「私達もあの娘みたいに一緒にいるようにするというの?」
「善光は黒檀とね」
 陳琳もだ。そうすればいいというのだ。
「そうしていつも一緒にいるようにしましょう」
「それは何故かしら」
「私が以前攫われて匈奴のところに送られたのは知ってるわね」
 蔡文姫が言うのはこのことだった。
「そうね」
「ええ、あのことね」
「ずっと考えていたのよ」
 顔を顰めさせてだ。蔡文姫は韓浩に話す。
「私を攫ったのは誰なのか」
「まさかそれは」
「司馬尉かも知れないわ」
 こう言ったのである。
「私のお母様はあの頃司馬氏の政敵みたいな立場にいたから」
「同じ清流だったのに?」
「清流の中でも官職の取り合いになるから」
 朝廷の官職には限りがある。二人が同じ官職を望めばそれだけで衝突になる。そうなるというのである。そしてそれでだというのだ。
「だからね」
「それで貴女のお母様と司馬氏は」
「お母様は私の提案を参考にしてくれたし」 
 つまりだ。彼女は母の参謀でもあったというのだ。
「その私がいなくなれば」
「徳をするのは司馬氏ね」
「ええ。だからね」
 そうしたことを考えてだというのだ。
「司馬氏が私を攫わせて匈奴に送って」
「そのうえで」
「お母様は私がいなくなって」
 そしてだというのだ。彼女がいなくなってから。
「官職は司馬氏が手に入れ」
「そうしてなのね」
「私が戻った時にはもうお母様は」
「殺されていた」
「急死していたそうよ」
 歯噛みしてだ。蔡文姫は話した。
「そうなっているわ」
「急死、ね」
「夜にお酒を飲んで急に亡くなられたのよ」
「毒殺ね」
 韓浩は事情をすぐに察して述べた。
「それね」
「おそらくは」
「司馬氏ね」
 すぐにだ。韓浩は話した。
「あの連中がやったのでしょうね」
「ええ。そして」
「貴女を攫ったのも」
「間違いないでしょうね」
 こうだ。蔡文姫は推理して話したのだった。
「私をそうして。お母様を暗殺して」
「よくある話ね。政敵を排除する手段としては」
「だから。いつも一緒にいましょう」
 蔡文姫はあらためて韓浩に提案した。
「わかったわね」
「若しも一人になればその時は」
「司馬尉は牙を剥くわ」 
 司馬尉をそうした女だと見ての言葉だった。
「だからそうしましょう」
「ええ。じゃあ」
「残っている皆もそうしてね」
 司馬尉に隙を見せないというのだ。実際にそうしてだった。
 
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