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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三話 公孫賛、やはり忘れられるのことその八

「けれど」
「姿が見えないのです」
「ねねにも見えない?」
「見えないです」
 陳宮は必死に目を凝らす。だがそれでもだった。
 姿が見えずにだ。こう言うのだった。
「恋殿もですね」
「そう。見えない」
 呂布にもだ。その赤い髪の女が何処にいるのかわからなかった。
「本当に有り得ないこと」
「そうですよね」
「若しかして本当に」
 呂布はここで言った。
「透明人間」
「それかも知れないのです」
 彼女もこう言うのだった。とにかくだ。
 その謎の女の存在はわからなかった。だがその中でだ。
 劉備はだ。ある者に声をかけていた。
「ねえ白々ちゃん」
「だから私は白蓮だ」
 こう返す公孫賛だった。
「全く。何度間違えるのだ」
「あっ、そうだったの」
「そうだ。しかし最近だ」
 公孫賛は腕を組んで言う。
「どうも妙な噂が広まっているな」
「そうみたいね」
 劉備もその話はちらりと聞いていた。
「誰なのかしら」
「全くだ。訳がわからない」
 また話すのだった。
「しかしだ」
「怪しい人間がいるのなら」
「見つけ出して誰なのかはっきりしないとな」
「やっぱり問題よね」
「そうだ。本当に誰なのだ」
 このことにだ。疑問を感じながらだ。二人は話すのだった。
 しかしだ。噂はさらに広まりだった。
 都中でだ。誰もが噂する様になっていた。
 そうした話の中でだ。リョウが話す。
「ひょっとして藤堂のおっさんじゃないのか?」
「ああ、そういやあのおっさんどうしてるんや?」
 ロバートは彼のことを今思い出した。
「こっちの世界に来てるんか?」
「いや、それは知らないけれどな」
 こう返すリョウだった。
「けれど俺達も全員来ているからな」
「あのおっさんが来ててもやな」
「不思議じゃないだろ」
 これがリョウの見立てだ。
「あの人が来ててもな」
「そやな。わい等がおるんやったら」
「いるだろ、多分」
「けれどよ」
 ここでユリがこのことを話す。
「赤い髪の女の人よ」
「あっ、そうだったな」
「そういう話やったわ」
 リョウとロバートはこのことを思い出した。
「だったら違うか?」
「藤堂のおっさんやないか」
「じゃあ本当に」
「何処の誰や」
「誰かいたわ」
 キングが言う。
「ほら、幽州に誰かいたでしょ」
「いたか?」
「記憶にないで」
 リョウもロバートもだ。幽州と聞いてもだった。
 首を捻りだ。こう言うばかりだった。
「確かあそこは袁紹さんが治めてるだろ」
「わい等もおったけれどな」
「誰かいなかったかしら」
 また言うキングだった。
「本当に」
「いました?」
 ユリも首を捻る。
「本当に誰か」
「いたような気がするのよ」 
 キングはこう言うが何処の誰かはわからなかった。
「本当にね」
「その誰かか?」
「今回の騒ぎの元凶は」
 それは薄々感じていた。しかしだった。
 
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