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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十九話 お茶漬けを食べてその二

「それでもな」
「お水が悪いからだね」
「中国とか東南アジアの水は沸騰、濾過させるともうな」
「飲めるね」
「アメリカとかでもな、けれどな」
「欧州のお水はだね」
「例えそうしてもな」 
 濾過するなり沸騰させるなりしてもだ。
「どうもな」
「味がよくないんだね」
「イギリスはシャワー浴びても泡拭いて終わりだろ」
「それイギリスから来た子も言ってるよ」
 もう皆だ。
「洗い落とさずにね」
「食器洗ってもな」
「泡を拭いて終わりでね」
「洗い流さないのはな」
「お水が関係しているね」
「フランスだって毎日入浴する人はあまりいないんだよ」
 この国はこの国でだ。
「これは硬水だからなんだよ」
「それも日本の硬水とは違うね」
「ああ」
 実際にというのだ。
「それで飲んでもな」
「美味しくないんだ」
「だからお茶漬けにしてもな」 
 欧州でそれを食べてもというのだ。
「違うんだよ」
「お水もお料理には大事だしね」
「俺が思うに特にイギリスがな」
「お水悪いんだ」
「だから夏目漱石さんも留学してみてだよ」
 またこの人の話になった、多分天国で嫌な思い出のことを延々と話すなとかなり怒っているだろう。
「食いものまずいわ水も悪いわでな」
「お水が悪いと食べものもだよね」
「ああ、それでな」
「そのことでも嫌になったんだね」
「あの国の料理は本当に酷いからな」
「実際に食べて思ったんだ」
「あの国に最初に行ったのは十七の時だった」 
 親父は僕に話してくれた。
「夏休みメイドのお姉ちゃんと遊びたくなってな」
「そこは親父だね」
「丁度親戚の人が旅行に行くんで一緒に連れて行ってもらったんだよ」
「まだ十代だからだね」
「誘われてな、行ったんだよ」
 メイドの人達と遊びにというのだ。
「それで試しにまずいって噂を確かめたんだ」
「本当にまずかったんだ」
「イギリスは期待を裏切らない国なんだよ」
 よくも悪くもという意味での言葉だった。
「そして俺の期待はな」
「イギリスは適えてくれたんだね」
「正確に言うとあの国のシェフの人達はな」
「そうだったんだね」
「ちなみにアイルランドはもっと酷かったけれどな」
 イギリスの隣の国だ、歴史的経緯のせいでイギリスとは犬猿の仲である。
「イギリスもな」
「まずかったんだ」
「ああ、食って真実がわかったぜ」
「それで夏目漱石さんはそちらでも参って」
「しかもな」
 それに加えてというのだ。
「水もなんだよ」
「そうなんだ」
「もうとびきり悪くてな」
「まずいんだ」
「正直紅茶にしないとな」
 イギリスだからミルクティーである。
「飲めないぜ」
「だからあの国皆紅茶飲むんだね」
「真水は論外でな」
 水道水でもというのだ。 
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