八条学園騒動記
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第六百十七話 地獄の甘さその五
「逆輸入になりますが」
「マウリアでもですか」
「飲んでいます」
「そうなんですね」
「元はマウリアで作ったお茶をイギリスで飲んでいました」
これは中国の茶も入る、その貿易赤字が深刻であったことも歴史にある通りだ。そしてそれがアヘン戦争にもなった。
「そうしていましたが」
「それがですか」
「イギリス人がいつも美味しそうに飲むので」
マウリア、当時はインドと呼ばれていたそこにいた彼等がというのだ。
「それで、です」
「自分達も飲んでみてですか」
「美味しかったので」
それでというのだ。
「私達もです」
「飲む様になりましたか」
「はい」
そうなったというのだ。
「そうなりました」
「そうですか」
「それもです」
セーラはさらに話した。
「イギリス風にです」
「ミルクティーですか」
「そちらを」
「アメリカだとですね」
店員はこの国のことを話した。
「今もですが」
「レモンティーが主流ですね」
「コーヒーか」
若しくはというのだ。
「レモンティーで」
「それで、ですね」
「ミルクティーはです」
こちらはというのだ。
「これといってです」
「左様ですね」
「ちなみに僕アメリカ人です」
店員は自分の出身国の話もした。
「メリーランド星系です」
「そちらですか」
「はい、実家は喫茶店で」
「ではお茶のことも」
「詳しいです」
こうセーラに話した。
「売っているものですから」
「それだけにですね」
「はい、ただアイスも売っていますが」
実家の喫茶店にはというのだ。
「ですが」
「それでもですか」
「マウリアのアイスまでは」
とてもという口調での言葉だった。
「知りませんでした」
「そうでしたか」
「はい」
こう話した。
「とても」
「マウリアのアイスはマハラジャタウンでも売っていまして」
ベッキーがこのことを話した。
「食べようと思えばです」
「そこで、ですか」
「食べられます」
店員に対して話した。
「左様です」
「そうなんですね、僕はマハラジャタウンにはです」
「行かれないですか」
「はい」
ベッキーに真面目な声で答えた。
「行ったことがないです」
「そうなのですね」
「実家の近くになくて旅行に行った時も」
その時もというのだ。
「なくて」
「それで、ですか」
「はい、それに」
ベッキーにさらに話した。
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