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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十七話 日本にいることその十二

「今もそう思って食ってるぜ」
「それでだね」
「食いきれないチョコレートもな」
 捨てることはしないでだ。
「寄付してるんだよ」
「孤児院の子達に」
「世の中食いたくても食えない人だっているんだ」
「そう考えたら残したらいけないね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「プレゼントされたものもな」
「食べてるね」
「出来るだけな、それで食いものでなくても」
「大事にしてるね」
「生きものは扱いに困ってな」
「里親いつも探すんだね」
「俺は医者だ、命を粗末にするなんてな」94
 そんなことはというのだ。
「するか」
「それでだね」
「幸い八条グループはそうした慈善事業もやってるんだ」
 生きものを保護して里親を探す、小さなことかも知れないけれど命をつなぐとても大事なことである。
「それならだ」
「そちらのつてを使って」
「見付けてもらってるんだ」
 新しい飼い主の人達をだ。
「生きものはな」
「そこもしっかりしてるね」
「たまに貰うからな」
 プレゼントとして、というのだ。
「生きものも」
「それでも貢がれるとだね」
「受け取らないってことだよ」
「そこははっきり分けてるんだね」
「俺だって蜜がないんだ」
 プレゼントはしてもだ。
「だったら余計にだろ」
「そっちはしないで」
「しようとしてきてもな」
「受け取らないでいて」
「自分で使ってもらうんだよ」
「そこは何ていうか」
 僕は聞いて思った。
「恰好いいね」
「粋か?」
「そう思ったよ」
「俺は粋でありたいんだよ」
「やっぱりそうなんだね」
「ああ、傾いてな」
 そうしてというのだ。
「そうありたいんだよ」
「それでそうしてるんだね」
「人間どうしても恰好悪い時があるさ」
「どうしてもだね」
「ああ、俺だってな」
「恰好悪い時あるんだ」
「そんなの幾らでもあるさ」
 僕に笑って話した。
「言ってないだけでな」
「そうだったんだ」
「生まれた時からな」
「恰好悪い時あったんだ」
「それこぞ数えきれないだけな」
「そうは見えないけれど」
「見えないだけだよ」
 僕に梅酒を飲みながら笑って話した。
「お前にはな」
「それが実はなんだ」
「ああ、恰好悪いさ。けれどそれでもな」
「粋になんだ」
「やろうって思っていてな」
 それでというのだ。
「出来るだけいつもな」
「粋にだね」
「傾く様にしてるんだよ」
「そうなんだ」
「ああ、また言うが人間生きていたらな」
「恰好悪い時もだね」
「幾らでもあるんだよ、けれど恰好悪い時があってもな」
 それでもというのだ。 
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