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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十七話 日本にいることその四

「見ろよ、そしてな」
「向かうことだね」
「いや、逃げられたらな」
 親父は僕に飲みながらも真剣な顔で言った。
「逃げろ」
「逃げていいんだ」
「言ったろ、この世で一番怖いものだってな」
「だからなんだ」
「逃げていい状況だって思ったらな」
「逃げていいんだ」
「お前一人でどうしようもなかったりしたら」
 その時はというのだ。
「一旦逃げてな」
「助けを呼ぶんだ」
「そうしろ」
 こう僕に話した。
「そしてその人と一緒にな」
「解決するんだ」
「そうしろ、ただ見捨てることはな」
「しないことだね」
「逃げるのと見捨てるのは違うんだ」
 親父はこのことは強い声で話した。
「逃げるのは自分を守ることなんだ」
「自分の身をだね」
「心もな、逃げるのも勇気のうちだ」
「どうしようもなかったら」
「ああ、自分を守る為にな」
 身体、それに心をというのだ。
「逃げろ、まさかDVやる奴に向かえとか言うか?」
「言ったら馬鹿だね」
「そうだ、向かってどうなるんだ」
 DVを行う様な輩にだ。
「そんな旦那や彼氏、彼女の場合もあるな」
「奥さんの場合もあるね」
「そんな奴に向かって下手しなくてもトラウマになったりな」
「最悪殺されたりね」
「そうなって逃げるなって言った奴は責任取れるのか」
「そんなこと言う奴程責任取らないね」
「そんなものだ、むしろ逃げろって言う方がな」
 そうした人の方がというのだ。
「責任取るさ、人間圧倒的な暴力を受けたら考えられなくなるんだ」
「恐怖で」
「ああ、それで無力になってな」
「為されるがままだね」
「それを見てもな」
 圧倒的な暴力をというのだ。
「そうなる、そんな暴力を振るう奴からはな」
「逃げることだね」
「ああ」
 絶対にというのだ。
「その方がいい、逃げることを決断することもな」
「勇気だね」
「そうだよ、だから逃げることはな」
「いいんだね」
「だが見捨てるのはな」
「駄目だね」
「ああ、他に逃げるべき人がいるならな」
 それならというのだ。
「その人もな」
「連れて逃げることだね」
「そうしろ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「その人も守れ」
「一緒に逃げて」
「自分がまずくなったから相手を見捨てるのはな」
 そうした行為はというと。
「屑のやることだろ」
「学校にいるしね」
 陸上部の嫌われ者二人だ、本当に学校中の嫌われ者だ。
「自分達が告白する様に言った人が失恋したらね」
「けしかけた奴を見捨てたな」
「そうしたよ」
 自分達が告白された女の子の友達にあれこれ言われたかららしい、そもそもそんなことで縁を切る奴の友情なんてたかが知れている。偽物だ。 
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