靴好きの猫
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第一章
靴好きの猫
アメリカペンシルバニア州に住んでいるモンセラ=ロス肩の高さで切り揃えた金髪と眼鏡が印象的な彼女はこの時だった。
夫のプラシド、長身でやや長方形の顔ではっきりとした顔立ちと黒い目と髪の毛を持つ彼に眉を曇らせて言った。
「最近ジョーダンがね」
「またか」
「そうなの、ものを集めていてね」
黒と白の八割れの猫、雄で六歳になる彼に言った。
「今度は靴なのよ」
「それか、前はゴミとかゴム手袋とかでな」
「生きものの死骸だったりね」
「変なの集めるよな」
「この子の趣味ね」
「ああ、困った奴だな」
「それで今集めてる靴だけれど」
妻は夫にさらに話した。
「どうも捨てられているのじゃなくて」
「まさか」
「人の靴をね、それも一足でね」
揃ってというのだ。
「持ってくるのよ」
「人の家から取ってきているのか」
「そうみたいなのよ」
「それはまずいな」
夫は妻のその言葉に難しい顔になって述べた。
「流石に」
「これまでのゴミとか手袋はね」
「ああ、困ってもな」
「盗んだものじゃないから」
「まだよかったがな」
「靴はね」
これはというのだ。
「他の人のものだったら」
「窃盗だからな」
「放っておけないわ」
「後で俺達が訴えられるしな」
「飼い主としてね、だから」
それでとだ、妻は夫に話した。
「私考えたけれど」
「ああ、どうするんだ」
「まずはジョーダンにGPSを付けて」
その彼を見ながら話した。
「そしてね」
「何処に行ったかチェックするか」
「あと監視カメラも用意して。どうも夜にお家出て集めに言ってるから」
「猫は基本夜行性だしな」
「実際ジョーダンは昼は寝てばかりでしょ」
「朝起きていてな」
二人共働いているがいつも朝出勤する時に彼に行って来ると挨拶をして見送ってもらってから家を出るのが日課になっている。
「休日見てもな」
「お昼はいつも寝てるでしょ」
「ああ」
その通りだとだ、夫は妻に答えた。
「そうだな」
「だからね」
「夜に取りに行ってるか」
「そうみたいだから」
それでというのだ。
「ここはね」
「監視カメラも付けてか」
「チェックするわ、そしてね」
妻はさらに言った。
「フェイスブックでこのことを言って」
「靴を取られた人に申し出てもらってか」
「返していきましょう」
「そうするか」
「ええ、盗みは悪いし」
それが猫がしたことでもというのだ。
「ここはアメリカだから」
「何で訴えられるかわからないからな」
「猫がしたことでもね」
「じゃあすぐにな」
「そうしていきましょう」
こう話して実際にだった。
ジョーダンにGPSを付けて監視カメラを付けて動きをチェックしてだった、フェイスブックで情報を求めた、すると。
ジョーダンは実際に夜に外出していた、しかも。
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