水が欲しくて
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第二章
「チチッ」
「栗鼠か」
「そうね」
二人は目の前に出て来たダークブラウンの小さな栗鼠を見て言った。
「また急に出て来たわね」
「そうだな」
「何かね」
恋人はその栗鼠を見て言った。
見れば栗鼠は二人を見上げている、その目はしきにり何かを求めている様だった。その目を見て言うのだった。
「何かを欲しいのね」
「欲しいって何がだ?栗鼠の食べものになりそうなのは今は持っていない」
「そうよね」
「栗鼠の口になりそうなものは」
恋人は考える顔で述べた。
「お水?」
「ペットボトルの中のか」
「それ位よね」
「それか?じゃあな」
「ペットボトルのお水をあげる?」
「そうするか」
こう話してだった。
キャンプスはペットボトルを出してだった。
栗鼠に差し出してだ、こう言った。
「飲むか?」
「チチッ」
栗鼠は鳴いて応えてだった。
ペットボトルに顔を近寄せて水を飲みはじめた。
ペットボトルの水は結構な量だった、しかし栗鼠は小さな体で水を飲み続け。
中にある水を全て飲んだ、そうしてからだった。
「チチッ」
「有り難うか」
「そう言ってるのかしら」
二人は栗鼠がここで鳴いたのを見て思った、そして。
栗鼠が帰るのを見送った、それから旅を再開した。
二人はそれぞれ話した、その話が終わってからデニスはエールを飲みつつそのうえでキャンプスに言った。
「同じだな」
「そうだな、お互い面白い経験したな」
「旅に出て喉が渇いた生きものに水やるなんてな」
「猫と栗鼠で違ってもな」
「お互い面白い経験したな」
「全くだ、これも何かの縁だな」
キャンプスはデニスに笑顔で述べた。
「そうに違いないな」
「そうだな、じゃあその縁に乾杯してな」
「まだ飲むかい?」
「エールもう一杯飲むかい?」
「一杯どころじゃない、気が済むまでな」
デニスは笑顔で応えた。
「飲むぜ。つまみにソーセージもな」
「頼むか」
「ああ、その縁に乾杯してな」
「じゃあどっちも出すな」
キャンプスも応えた、そうしてだった。
デニスは笑ってエールを飲みソーセージを食べた、キャンプスはその彼とさらに話した、そのうえでメールアドレスやお互いのSNSも確認してだった。
友人となった、二人はそのうえで旅の話もしていった。この時からそれをはじめたのだった。
水が欲しくて 完
2021・5・25
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