覚えていた二匹
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第三章
「貴方達ずっとここにいたのね」
「凄く嬉しそうですね」
「所長と会えて」
「もう嬉しくて仕方ない」
「そうした風ですね」
「二十年ずっと覚えてくれたのね」
自分のことをだ、リンダは自分達の前に来て泣いている彼等を見てスタッフ達に対してこう話した。
「そうだったのね」
「そうですね」
「間違いないですね」
「これは」
「そうですね」
「信じられないわ、けれど」
自然とだ、リンダもだった。
「また一緒にいられるなら」
「それならですね」
「この子達をですね」
「センターに迎えますね」
「そうするわ。貴方達もそれでいいかしら」
「ウキッ」
「ウキィッ」
是非もないという返事だった、こうしてだった。
二匹はセンターに迎えられた、そのうえで。
彼等はそこで幸せに暮らしはじめた、リンダはその彼等を見てスタッフ達に話した。
「よかったわ、二十年経っていたけれど」
「所長のことを覚えていて」
「それで、ですね」
「私を会えて喜んでくれて来てくれて」
そうしてくれてというのだ。
「嬉しいわ」
「所長が彼等のことを想っていた」
「だからですよ」
「彼等も覚えていたんですよ」
「そうなんですよ」
「そうなのね、じゃあこれからも」
是非にとだ、リンダも応えた。
「彼等のことを想っていくわ」
「だからこのセンターも開きましたし」
「活動していきましょう」
「一匹でも多くのチンパンジーを助ける為に」
「そうしていきましょう」
「ええ、彼等も命だから」
それが為にとだ、周りに応えてだった。
リンダはスタッフ達と共にチンパンジー達の方に行った、そうして彼等に笑顔を見て世話をしていくのだった。
覚えていた二匹 完
2021・5・21
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