夢幻水滸伝
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第百九十七話 豊かな国を背負ってその十一
「それでや」
「とてもですか」
「リー様には勝てないですか」
「ハリム様でも」
「まず勝てん」
ハリム自身こう言った。
「そのことは言っておく」
「ハリム様もかなりお強いです」
「このブルネイでは敵なしです」
「神霊の如きお強さですが」
「それでもですか」
「上には上がおるな」
ハリムは周りに問うた。
「そやな」
「はい、そのことは」
「やはりその通りです」
「そもそも我等の人は小さなものです」
「アッラーの前では実に小さいです」
「人という存在は」
「おいらも人やで」
如何にレベルが高くともというのだ、ハリムはムスリムとして人について考えそのうえで周りに話をしたのだ。
「それでや」
「小さい存在であり」
「そして上には上がいる」
「ハリム様よりお強い方が」
「そのことをご自身で言われますか」
「事実や、というかアッラーをレベルで語るとかな」
そうしたことはというと。
「さっき言ったけどな、それでももうアホな話やろ」
「偉大なるアッラーを人の基準で考えるなぞ」
「その様なことが出来る筈がありません」
「アッラーはまさにこの世の全てを動かし決められています」
「絶対の方であられます」
「そや、そしてアッラーが生み出された預言者達も凄いんや」
その彼等もというのだ。
「おいらよりな」
「それならですか」
「リー様もお強い」
「ハリム様よりも」
「そうだと言われるのですね」
「そや、勝てる見込みはまずないわ」
またこう言うのだった。
「あの人にはな」
「それで、ですか」
「戦うことは避けられますか」
「リー様とは」
「そうされますか」
「相手の力量も知ることや」
ただ自分が強いと思わずにというのだ。
「それで強い相手とはな」
「戦わない」
「それも大事ですか」
「そう言われますか」
「そや、むしろ戦うよりな」
それよりもというのだ。
「ここはや」
「同盟を結び」
「共存共栄を計られますか」
「ハリム様としては」
「そうしたい、そして東南アジアを一つにするのも」
それもというのだ。
「おいらが思うにリーさんや、東南アジアが一つになれば平和になるやろ」
「はい、東南アジア全体がそうなります」
「何億もの人口を持つこの地域もです」
「晴れてそうなります」
「それが出来るのはあの人や」
リー、彼だというのだ。
「そやからな」
「それ故にですか」
「ここはですか」
「あの方に期待し」
「そしてですか」
「同盟を結ぶわ、国家連合を組んで」
そしてというのだ。
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