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夢幻水滸伝

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第百九十七話 豊かな国を背負ってその五

「ハッピーエンドになるな」
「それがコーランです」
「そこに悲劇はありません」
「アッラーは幸せな結末を望まれます」
「前向きな者へのそれを」
 聖書と同じ登場人物でもそうなるのだ、その為コーランは非常に痛快かつ明るい物語に満ちているのだ。
「ですからハリム様もですね」
「働かれますね」
「それも前向きに」
「そうされますね」
「おいら自身暗い考えは苦手やしな」
 ハリムは笑って周りに返した。
「そうするわ」
「左様ですか」
「それではですね」
「これよりですね」
「その様にされますね」
「そや、おいらの宣言を受けて降る勢力はよしで」
 それでというのだ。
「降らん勢力はな」
「戦ってですね」
「そうして降らせますね」
「その様にしていきますね」
「拳で語り合う、ぶつかり合って理解し合う」 
 ハリムは先程以上に明るく笑って話した。
「日本の少年漫画もそやがええな」
「はい、確かに」
「ではその様にしてですね」
「ブルネイの統一を進めていきますね」
「その様にしていきますね」
「そうしてくで、アッラーは偉大や」
 ハリムはムスリム達の言葉も出した。
「そのアッラーのお考え通り進んでいくで」
「わかりました」
「ではその様にしていきましょう」
「今後は」
 周りも頷いてだった。
 ハリムは前向きにブルネイの諸勢力に自分を棟梁とした統一を話して自分の下に入る様に言いそうしてだった。
 降る者はよく降らない者には自ら軍を率いて出陣したり確かな者に率いさせて出陣させてであった。
 諸勢力を自分の下に加えていった、その中で自分が倒して降らせた者達がいたが彼等はこれからどうなるかと不安であった。
「魂消されるか?」
「負けたからな」
「もう何されてもおかしくないな」
「財産没収されて女房や子供もな」
「果たしてどうなるか」
 極めて不安だった、だが。
 ハリムはその彼等に対して向かい合って告げた。
「立ってくれるか」
「?立てとか」
「そのまま処刑台に向かえと」
「そう言われるのですか」
「処刑?そんなことするか」
 ハリムは笑って返した。
「アッラーは一時の敵を殺す神か」
「いえ、違います」
「アッラーは偉大です」
「そして極めて寛容です」
「それはコーランにある通りです」
「他のどの存在よりも寛容です」
「そのアッラーが見守っておられる預言者達がこんな時どうするか」 
 それはコーランに書かれているどの預言者達もだ。
「一体」
「はい、許します」
「異教徒であっても改宗すれば許されます」
「それがアッラーでありイスラムです」
「そや、異教徒のままでも貢納で許される」
 これをジズヤと言う。 
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