八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百十三話 休める時はその十四
「楽しまれて下さい」
「そうさせてもらいます」
「皆様参加されるとのことなので」
八条荘の皆がというのだ。
「どの方もお昼は遊ばれて」
「それで夜はですね」
「楽しまれるとのことです」
「そうなるんですね」
「はい、では明日」
「またですね」
「共に楽しみしょう」
こう僕に言ってくれた。
「是非」
「それじゃあ」
「しかし。九十を過ぎても」
畑中さんは今度はご自身のことを嗤って話された。
「私はまだまだ飲めますね」
「そうですね、酒豪ですよね」
「昔から飲む量は変わりません」
「そうなんですか」
「食べる量も」
こちらもというのだ。
「変わらないです」
「鍛錬の結果ですね」
「そうだと思います、日々です」
「直新陰流の鍛錬をされていると」
「体力は落ちず」
「それで、ですね」
「食欲もです」
これもというのだ。
「落ちていません」
「運動はそれだけ大事ですか」
「そうかと」
「九十過ぎては凄いですね」
「若い頃からこの鍛錬を日々行っていますし」
「毎日ですか」
「はい、朝起きて」
それも早くにだ。
「毎日していますので」
「それで、ですか」
「健康であり」
「衰えていないですね、十一キロの木刀を千回も二千回もとか」
それだけ振るとだ、しかもヒンズースクワットも同じだけ行う。
「尋常な鍛錬でないですしね」
「それを今まで毎日出来る様に」
まさにその様にというのだ。
「身体も整えてきましたし」
「そのことも大きいですね」
「そうかと。鍛錬はです」
まさにというのだ。
「それが行えるだけの身体も備える」
「そのことも大事ですね」
「酷い風邪で鍛錬が出来るか」
「そういうことですね」
「鍛錬が健康を維持しますが」
それでもというのだ。
「それが出来る位の健康をです」
「そもそもですね」
「備えておくことです、ですから食事もです」
「気をつけておられますか」
「常に、そして鍛錬をして」
直新陰流のそれをだ。
「お風呂に入り」
「身体を整えて」
「清めると共に」
「それで食べて」
「そうしていって身体が衰えない様にして」
それでというのだ。
「今に至ります」
「九十過ぎまで鍛錬を続けてお仕事もですね」
「出来ています、そしてこれからも」
「お仕事をされますか」
「鍛錬も、そしてこの世を去るまで」
まさにその時までというのだ。
「鍛錬はしていきます」
「凄いですね」
「そう言って頂けますか」
「だって九十過ぎですから」
畑中さんはだ。
「それでまだ鍛錬されてお仕事もされて」
「これからもと言うからですか」
「凄いです、僕も長生きして」
そしてだ。
「そうなる様にします」
「私を目指してくれますか」
「そうしたいです」
「嬉しいお言葉です、ですが尊敬はです」
「それはですね」
「他の方にお願いします」
「そうですね、そのことは」
僕も笑って応えた、先程のやり取りから。
「僕も」
「はい、その様に」
畑中さんは僕に微笑んで答えてくれた、長い眉で目はよく見えない。けれどその声はとても温かいものだった。
第三百十三話 完
2020・12・23
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