恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百一話 帝、劉備を信じるのことその七
一同にだ。こう言った。
「愛紗さん達も来られましたら」
「宮廷に入るのね」
「そうです。そうして桃香様はです」
劉備に対してだ。どうするべきかを話すのだった。
「帝とお話して下さい」
「二人でなのね」
「そうです。お二人でお話されるのが一番です」
考えがはっきりとした顔でだ。劉備に話す。
「私達は宮廷で待っていますので」
「劉備殿の言葉でお話して下さい」
鳳統はこう勧める。
「そうされればいいです」
「わかったわ。それじゃあ」
劉備も頷きだ。そのうえでだ。
関羽達五虎将達も来てからだ。宮廷に入ったのだった。
それから孔明達と別れてだ。そのうえで帝の前に出た。
帝は赤い幾つもの柱に支えられた広い部屋の中にいた。そこで階段の上にある豪奢な、赤と金の皇帝の座にいるまだ幼さが見られる少女の前に出た。
少女は九匹の龍に飾られた黄金色の衣を全身にまとっている。髪は黒く腰まである。黒い切れ長の奇麗な目をしている。その光は星の瞬きの如きだ。
顔はやや丸く楚々としている。歳は孔明と同じ位で背や顔立ちも同じだ。
その彼女がだ。劉備に対して言ってきた。高い少女の声でだ。
「よくぞ来られました」
「はい」
「今日朕の前に来たのは何故でしょうか」
「あの、噂話のことで」
まずはこう切り出した劉備だった。階段の下に立ちだ。そのうえで帝に話すのである。
「何か私が謀反を企んでいるとか」
「その様ですね」
「その様でといいますと」
「既に後宮で宦官や女官達が噂しています」
そうだというのだ。
「劉備が朕にとって代わろうと」
「そうした話になってるみたいね」
「朕はその噂を耳にする度にです」
どうしていたか。帝はこのことを話した。
「そうしたことを話す者達を嗜めてきました」
「そうされていたのですか」
「確かに劉備は皇族であり摂政です」
まさにだ。今のこの国の最大の実力者だ。
「皇帝になろうと思えばできます」
「そうみたいですね」
「若し劉備が実際に謀反を企ているなら」
どうするかというのだ。
「既に兵権を全て握っています」
「それからですか?」
「一声挙げればその兵達が一斉に動き」
それでだ。どうなるかというのだ。
「十三の州の兵で都を取り囲めばです」
「それで終わりですか」
「はい、わざわざこの都に止まらなくてもいいのです」
このことがわかってだった。帝は劉備に話すのだった。
「しかし劉備は都に止まり続けてますね」
「楽しいことも多いですし」
こうだ。如何にも劉備らしいいささか能天気な調子で帝に話す。
「それに政もありますし」
「そうですね。そうした劉備が叛意を持っているか」
それはどうかというのだ。
「有り得ないことです」
「だからですか」
「はい、朕にはわかっていました」
微笑みだ。劉備に話す。
「劉備は謀反を行う様な者ではありません」
「ですか」
「はい、それに若し劉備が実際に叛意を抱いていれば」
さらに話す帝だった。
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