恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百一話 帝、劉備を信じるのことその六
「三人一度になれば」
「お姉様の策も退けられる」
「そうなのですか」
「そうよ。私を出し抜くとはね」
どうかというのだ。それ自体が。
「許せないわ。この借りは必ず返すわ」
「はい、それでは」
「何時の日か」
こう話してだった。三人は今は退くのだった。
そうして劉備は軍師達と共に宮廷に入ろうとする。そこでだった。
すぐにだ。まずは魏延が劉備のところに来て言うのだった。
「桃香様、遅れて申し訳ありません」
「焔耶ちゃん?」
「任で都の不穏な者達を取り締まっていました」
そうしていたというのだ。
「それで遅れました」
「そうだったの」
「はい。愛紗達もです」
関羽達もだ。その任にあたっていたというのだ。
「今彼女達もここに来ます」
「そういえば今日焔耶ちゃん私の傍にいなかったわね」
劉備は今になってこのことに気付いたのだった。このこともだ。
「いつも私の傍にいてくれるのね」
「私にしてもです」
魏延はここでだ。実に無念そうな顔になって話した。
「桃香様のお傍を離れるのは実に辛かったです」
「そうよね。私も何か焔耶ちゃんが傍にいてくれないと」
劉備は気付かないまま彼女に言う。
「寂しいわ」
「有り難きお言葉。それだけで焔耶は満足です」
「そ、そうなの」
「それでなのですが」
劉備の何でもない言葉にだ。魏延は感涙しながら話す。
「軍師殿達に言われて都を取り締まったのですが」
「それで誰かいましたか?」
「怪しい者は」
「少なくとも私の見たところではいませんでした」
そうだとだ。魏延は孔明と鳳統に話す。
「一人もです」
「そうですか。やはり」
「一人もいませんでした」
「わしが見回ったところでもじゃ」
ここで厳顔も来た。そのうえで言ってきたのである。
「一人もおらんかった」
「そうですか。桔梗のところもですか」
「そうなんですね」
「うむ、おらんかった」
また言う厳顔だった。
「思えば面妖なことじゃな」
「いえ、そうだったと思っていました」
「今回は」
しかしだ。軍師二人はだ。
それはもう読んでいたという顔でだ。話していくのだった。
「噂話は得てしてそういうものです」
「それが意図され流されたものなら余計にです」
どうかというのだ。
「噂を流す人が誰なのかはわかりません」
「外見は普通の人が話して広まるものですから」
「その様じゃな。おそらくはな」
ここでだ。また言う厳顔だった。
「愛紗達もそう言うぞ」
「そうですね。そうなると思います」
徐庶は厳顔の言葉に頷きだった。そして言うのだった。
「噂はこれで消えるでしょうが」
「黒幕がいてもそれが誰かはか」
「推測はできますが断定はできません」
「そうじゃな。忌々しいがな」
「蜥蜴の尻尾切りどころではありませんね」
魏延も厳しい顔になって厳顔の言葉に応える。
「まるで最初からそんなことはなかった様に」
「噂を流した者達は見つからん」
「はい、何一つとして」
「厄介な話じゃ」
「それではです」
話が一段落したところでだ。孔明がだった。
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