恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百話 夏侯淵、定軍山に向かうのことその七
「始皇帝が亡くなるとすぐにでした」
「次の皇帝は兄弟、その夫や妻達までだったな」
「全て殺しました」
これこそまさに皇族同士の殺し合いだった。
「そうしたことが実際にありましたし」
「思えばあの秦の二代皇帝は」
関羽が言うのは胡亥のことだ。始皇帝の末子であった。尚兄弟姉妹の中で一番出来が悪いとも言われ宦官の傀儡にもなっている。
「本来は皇帝になる娘ではなかったな」
「はい、始皇帝は長女を皇帝に選んでいました」
「しかし宦官がそれを隠してだったな」
「彼女をたぶらかし皇帝にさせました」
全ては史記に書かれている通りだ。
「そしてこれはその時は許されました」
「皇族同士の間のことならば」
「人は批判しにくいものです」
「ましてや。今の姉上のお立場なら」
「何時でも皇帝になれます」
「では。やはり」
「はい、この噂は多くの者が信じるでしょう」
孔明は顔を曇らせて関羽に話す。
「非常に危険です」
「ではどうするべきだ」
関羽は顔を曇らせて孔明に問うた。
「ここは」
「はい、すぐに手を打ちましょう」
孔明もだ。今は様子見を選ばなかった。
「若しこの噂が広まればです」
「噂を信じた者が姉上を謀反人とみなし」
「帝に誤った進言をするか」
若しくはだった。
「謀反人を始末しようとしてだな」
「暗殺に至ります。そうでなくとも」
「他にもあるのか」
「桃香様を謀反人とみなし失脚させてです」
「その後釜に座るか」
「そうしたことを考える者も出るでしょう」
「司馬尉か」
関羽はすぐに言った。
「あの女がか」
「おそらく。噂を流したのも」
孔明は察した。このことも。
「あの人だと思います」
「くっ、京観を築いただけでは飽き足らずか」
「あの人は危険です」
孔明もだ。これまで以上にこのことを認識した。
「権勢欲以上のものがあります」
「姉上を追い落とし摂政になれば」
「私達、そして曹操さんや袁紹さん達もです」
彼女達もだというのだ。
「共に失脚させられます」
「そうだな。共に政を動かしている我等を」
「これは何とかしなければ」
「危険極まるな」
「すぐに雛里ちゃん達にお話します」
軍師達でだ。これからのことを決めるというのだ。
「そうしますので」
「頼むぞ。さもなければ姉上がだ」
「はい、わかっています」
こうした話をしてだった。孔明は。
すぐに他の軍師達に来てもらいだ。謀反の噂への対処を話すことにしたのだった。
都では不穏な噂が流れていた。そしてだ。
華陀達はだ。その都の状況を見て話をしていた。
「仕掛けてきたわね」
「そうね」
妖怪達が話している。彼等は今は洞窟の中で火を囲んで話をしている。
「予想はしていたけれどね」
「やっぱり仕掛けてきたわね」
「劉備さん達を失脚させてね」
「その咎で処刑して始末する」
「頭のいいやり方ではあるわね」
「悪智恵そのものね」
「そうした悠長なことを言っている場合か?」
突込みを入れたのはクラウザーだった。
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