夢幻水滸伝
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第百九十五話 川と密林の国をその一
第百九十五話 川と密林の国を
カバ=ティンはこの世界に来るとすぐにだった、今いるヤンゴンの南の港のことだけでなくこの世界のことを声から聞いた。
そして聞き終わるとすぐに港の仕事の斡旋を取り仕切っている所謂ヤクザ者達のところに行って声をかけた。
「それがしがこれからここを仕切るわ」
「は?何言ってんだお前」
「ここは俺達のシマだぞ」
「それをいきなり仕切るって何だ」
「ここを手前のシマにするつもりか」
「まずは兵と金や」
ティンはいかにも柄の悪い男達に冷静な声で答えた。
「だからや」
「それでっていうのかよ」
「俺達のシマを寄越せっていうのか」
「そう言うのかよ」
「それがしがこの港の顔役になり」
そしてというのだ。
「自分等はそれがしの兵隊になってもらう」
「おい、随分勝手なこと言うな」
「それが当然みたいにな」
「そんなこと出来る筈ないだろ」
「何言ってんだ」
「馬鹿なことを言うとな」
ここでだ、一人の男がだった。
刀を手に前に出た、そうして軽くいなそうとしたが。
ティンは自信の神具である九環錫杖を出した、その杖を右手に持ち男を軽く突くとそれだけでだった。
男はジュウメートル程吹き飛ばされて気絶した、これには他の男達も唖然となった。ティンはここで言った。
「一人やなくて全員でかかって来るか」
「くっ、こいつやるつもりか」
「それなら容赦しないぞ」
「そうしてやる」
「ここでな」
男達は何処からか出て来てティンを囲んだ、そうしてだった。
彼に襲い掛かった、だが。
ティンは杖だけでなくもう一つの神具である混元針に術も使い戦った、一人だったが何十人ものヤクザ者達をだった。
瞬く間に全員倒した、そうして言うのだった。
「これでええな」
「な、何て強さだ」
「バケモノかよ」
「ここまで強いなんて」
「星の者やからな、それがしは」
ティンはここで自分のことを話した。
「これ位は何でもない」
「えっ、星の方ですか」
「そうだったんですか」
「そういえばレベルが」
ここでならず者達はティンのレベルと能力そして特殊技能を確認した、そのうえで驚愕してそうして言った。
「なっ、レベル二百六十で」
「何だこのステータス」
「どの能力も桁が違うぞ」
「しかも特殊技能も半端ない」
「装備のレベルも段違いだ」
「これはまさに」
どう見てもというのだ。
「星の方だ」
「その方か」
「このミャンマーにも出て来られたか」
「そうなのか」
「そういうことや、ほなええな」
ティンは驚く彼等にあらためて言った。
「これから自分等はそれがしの配下や」
「わ、わかりました」
「これからは貴方の子分になります」
「そうなります」
「子分やない、兵になってもらう」
ティンはそこはしっかりと言った。
「それがしはヤクザ屋さんやないからな」
「だからですか」
「じゃあ俺達はもうヤクザじゃないですか」
「そうなりますか」
「任侠から足を洗わせる」
そうさせてというのだ。
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