ドリトル先生と不思議な蛸
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第十幕その八
「あの蛸はマダコだよ」
「そうね」
「その蛸だから」
「それでだね」
「安心していいね」
「そうだよ、普通の蛸は安心していいよ」
つまり毒はないというのです。
「そして日本の人達はね」
「普通の蛸だとね」
「喜んで食べるね」
「普通にたこ焼きやお刺身にして」
「唐揚げにもするし」
「そうして食べるね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「あの蛸もね」
「ひょっとしたら」
「その時はね」
「食べられるね」
「そうなるかもね、蛸壺を出されて」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「蛸ってそうだよね」
「蛸壺会ったらそこに入るから」
「それで普通に捕まえられるね」
「ミズダコみたいな怖い蛸でも」
「そう、本当にミズダコは人を襲うけれど」
そうした蛸でもというのです。
「何故日本人はそのことを知らないか」
「ミズダコを全然恐れないでね」
「図鑑でもそんなこと一言も書いてなくて」
「どうお料理したら美味しいかだから」
「それはどうしてかっていうと」
「蛸壺を用意したら」
海の中に置いたらです。
「簡単に捕まるからだよ」
「人を襲う様な蛸でもね」
「それだと映画に出て来る様な大蛸でも捕まえられるね」
「それも簡単に」
「そうなるね」
「だからね」
それ故にというのです。
「ミズダコのことも知らないんだよ」
「そもそも蛸を悪魔とも言わないわよ」
ポリネシアも言いました。
「全くね」
「そうそう、烏賊もそうで」
ガブガブも言います。
「本当に悪魔とか言わないわ」
「むしろ愛されているね」
トートーは言いました。
「可愛いとか言われて」
「確かに気持ち悪いって言う人もいるけれど」
ホワイティはそうした人達のお話をしました。
「少ないね、日本では」
「あの頭と八本の足がいいとかね」
ジップは丸い頭を思い浮かべつつ言います。
「そう言ってだね」
「そうそう、全然怖がることなくて」
「平和なものよ」
チープサイドの家族も言います。
「むしろ美味しそうだし」
「捕まえ方もわかっていてね」
「何かあまりにも怖がっていなくて」
オシツオサレツも二つの頭で言います。
「驚いたよ」
「日本に来た時は」
「まさか蛸壺なんてものがあるなんて」
ダブダブはこの壺のことを言うのでした。
「思わなかったしね」
「もう何ていうか」
こう言ったのはチーチーでした。
「日本人の英知も見たよ」
「烏賊も簡単にどんどん釣るし」
老馬はこちらのお話をします。
「日本人にとっては蛸や烏賊は本当に怖い対象じゃないね」
「うん、けれどヒョウモンダコには注意して」
そしてというのです。
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