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夢幻水滸伝

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第百九十三話 小さな街からその十三

「あれも食べますし」
「他の豚肉料理もか」
「実は。アッラーはそれ位は許してくれるので」
「あとお酒もやな」
「そうです、ただ殺人や浮気や偶像崇拝は」
 こうしたことはというと。
「何があってもです」
「許さへんな」
「左様です」
「偶像崇拝は有名やな」
「そうですね」
「そしてコーランはな」
 リーはそのイスラムの聖典の話もした。
「幸せな結末が多いな」
「登場人物は前向きで」 
「それで困難に打ち勝ってな」
「幸せになるお話が多いです」
「聖書と同じ登場人物でもな」
 ただし名前はアラビア語のそれになっている、ソロモンならスレイマーンになる。尚この人物もコーランでは悲しい結末ではない。
「そうなってるな」
「それがええのです」
「そやな」
「はい、コーランの登場人物は結構過ちを犯している気もしますが」
「アッラーは許してくれてるか」
「大抵のことは」
 そうだというのだ。
「些細なこととして」
「器の大きな神様やねんな」
「最も偉大であるだけに」
 イスラムではそうされているのだ。
「それだけに」
「多少のことは笑って許すか」
「遊ぶ位はもう何でもないです」
「栄耀栄華を極めてもか」
「そうです」
 だからスレイマーンも問題ないのだ。
「というか贅沢を極めることも」
「ええねんな」
「喜捨を行えば」
 貧しい者への援助をというのだ。
「ええのです」
「そういうことやな」
「だからこそです」
「カツ丼もか」
「ええのです」
 そうなるというのだ。
「他の食べものも。そしてお酒も」
「ええのか」
「そもそも昔からお酒は飲んでますし」
「アラビアンナイトでもか」
「否定は出来ないです」
 トルコでは地酒まである、そこまで飲んでいるのだ。
「飲んでいたことは」
「その辺りもええか」
「はい、もっと言えばアラビアンナイトでは結構女の人が」
「不倫は絶対にあかんのやろ」
「流石に」
「そうやな」
「ただイスラムは奥さんを四人まで持てます」
 アルフィアンはあまりにも有名なこの話をした。
「そうですから」
「女の人と楽しむことはか」
「いいですから」
「ただし公平にやな」
「そうなっていますが」
「持てることは持てるな」
「そうです」
 実際にというのだ。
「奥さんも、ですから」
「それでやな」
「はい、可能です」
 まさにというのだ。
「それでいやらしいことも」
「出来るか」
「そうです、兎に角アッラーは寛容ですので」
「豚肉もか」
「アッラーに謝罪すれば」
 そうすればというのだ。
「食べられます」
「ほんまに寛容やな」
「そして今からはですね」
「そや、鵞鳥をな」 
 共に食べようとだ、リーは答えた。そして実際に二人で鵞鳥料理と炒飯を楽しみその後でごま団子を食べた。そのうえでこれからのことも話した。


第百九十三話   完


                 2021・1・8 
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