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戦国異伝供書

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第百二十九話 灰からはぐれた者達へその八

「よいな」
「思いきりか」
「思いきり生きていいのか」
「おいら達は」
「そうしていいのか」
「左様、誰もがそうして生きてよいしじゃ」
 居士はさらに言った。
「またお主達泰平の世になって欲しいか」
「泰平!?戦がないのか」
「戦がない世かよ」
「そんな世の中になるのか?」
「今天下は本当に戦ばかりで」
「私達だってお侍や夜盗に追われたし」
「おっ父やおっ母も戦の中で死んだし」
 子供達は居士の言葉に口々に言った。
「そんな世の中でなくなるなら」
「戦がなくなるなら」
「どれだけいいか」
「それだけで」
「わしも同じじゃ」 
 居士は子供達の言葉を受けてじぶんの考えも話した。
「ましてわしはお主達よりもずっと長く戦の世を見てきた」
「父はそうだったか」
「わし等よりもずっと長く生きてきてか」
「戦の世ばかり見てきたか」
「そうなんだな」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「是非じゃ」
「戦の世が終わって欲しいか」
「泰平になって欲しいか」
「そう思うんだな」
「うむ、だからな」
 それ故にというのだ。
「強く思う、そしてな」
「わし等もか」
「わし等についてもか」
「戦の世をなおしたいなら」
「それならか」
「そうじゃ」 
 それでというのだ。
「忍の術を身に着けてじゃ」
「そしてか」
「その忍術でか」
「天下人になる人を助けて」
「そうしてか」
「そうじゃ、天下を泰平にするのじゃ」
 是非にというのだ。
「よいな」
「ああ、じゃあな」
「どんどん強くなるぞ」
「忍術を身に着けて」
「天下を泰平にするぞ」
「そうなる様にな」
 こう言ってだった。
 居士は子供達にそれぞれ名前を付けてそうしてだった。
 それぞれの特性に向いた忍術を教えていった、するとどの者も驚くまでに忍術を身に着けていった。そこにだった。
 居士は彼等に妖術の要素を教えていった、するとその中で煉獄と名付けられた若者がこう言った。
「お父、お師匠って言ってもいいか」
「まあお父の方がいい」
 こう煉獄に返した。
「その方がな」
「そうか、じゃあお父いいか」
「どうしたのじゃ」
「わしは剣術をよく教えてくれるな」
「うむ、お主はそちらの才がある」 
 だからだというのだ。
「それでじゃ」
「剣術をか」
「教えてな」
「忍術もか」
「教えておる、お主は忍術を備え」
 そしてというのだ。 
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