戦国異伝供書
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第百二十九話 灰からはぐれた者達へその七
「そうした者達がまだおってな」
「そのうえで、ですな」
「本朝に今も怨みを抱き」
「そして蠢いている」
「その様なことがあるとはな」
「思われませんでしたか」
「しかしおるのならな」
それならというのだ。
「やはりな」
「止めるべきですな」
「怨みを以ての動きは闇でしかなく」
「闇ならばですな」
「それは魔道となる」
こう言うのだった。
「怨みはそれ程までに恐ろしい」
「左様ですな」
「だからな」
「それで、ですな」
「うむ、その闇をどうにかする為にな」
「それがしは」
「動くのじゃ」
こう居士に言ってだった。
師は彼にさらに妖術を教えて授けた、そして。
居士は天下に出た、そのうえで孤児達を保護し飛騨に連れて行ってそのうえで彼等を集めてこう言った。
「お主達はこれよりわしの子達じゃ」
「ああ、そう言ってくれたな」
「爺さんおいら達に会った時に」
「そう言ってくれたな」
「そうだな」
「それでか」
「おいら達を拾ってくれたんだな」
子供達も言った。
「それじゃあか」
「これからはか」
「おいら達は今から兄弟か」
「爺さんがおいら達の親か」
「そうか」
「父親と思え、母はおらぬが」
それでもというのだ。
「わしが飯を用意する」
「そうしてくれるんだな」
「おいら達食わせてくれるんだな」
「これまでおいら達食うものもなかったのに」
「それでもか」
「これからは爺さんがか」
「爺さんでなく父じゃ」
居士は子供達に笑って話した。
「わしはな」
「ああ、そう言ってたな」
「そうだったな」
「じゃあお父か」
「これからはそう呼べばいいか」
「そう呼ぶのじゃ」
こう子供達に話した。
「よいな」
「ああ、わかった」
「それじゃあな」
「これからはお父って呼ぶな」
「そうするな」
子供達も頷いた、居士は子供達の名前もそれぞれ付けた。そうしてそのうえで彼等に文字や世の中のことを教え。
忍術も教えた、そこで彼等に言うのだった。
「よいな、お主達の忍術をな」
「天下の為にか」
「天下人の為に仕えてだな」
「それで使えっていうんだな」
「そうなんだな」
「そうじゃ」
こう言うのだった。
「よいな」
「ああ、わかったよ」
「いつもそう言ってるしな」
「それじゃあな」
「そうするな」
「そして思いきり生きるのじゃ」
居士は子供達にこうも言った。
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