八条学園騒動記
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第六百六話 まだらの紐なのかその十
「もうね」
「異次元に思えるってことだね」
「要するに、悪いことじゃないけれど」
エイミーはこうも言った。
「それでも違い過ぎて」
「異次元だね」
「そう思ったわ、特に歌と踊りが」
「異次元に思わせるね」
「個性の中でも特に強いから」
だからだというのだ。
「マウリアのね」
「それで余計に思うんだね」
「マハラジャタウンでも思うけれど」
「映画だと」
「尚更異次元に思えるわ」
「そういうことだね」
「マハラジャタウンは牛が普通にいるから」
この生きものがというのだ。
「そう思えるわ」
「牛が普通に街歩いてるからね」
「お店の前で寝ていたりするから」
「あれは確かに凄いね」
「映画でも出ているけれど」
牛はというのだ。
「マウリアじゃ普通なのね」
「マウリアじゃ牛に市民権もあるから」
「そうよね」
「それぞれに名前があって」
「ちゃんと戸籍登録されてるのよね」
「一匹一匹ね」
「それで映画でも普通に出ていて」
エイミーはさらに話した。
「エンディングのクレジットでも名前出るのよね」
「まず人が出て」
キャストにだ。
「それでその後にね」
「牛が出るのよね」
「うん、それで牛は映画では絶対に死なないんだ」
「マウリア映画って人も滅多に死なないわよね」
「さっきのホームズさん達みたいにね」
「そうよね」
「死んでもね」
例えそうなってもなのだ。
「普通に生まれ変わって」
「出て来るのね」
「エイミーの言う通り滅多に死なないうえに」
例え死んでもというのだ。
「そうなんだよ」
「そういうことね」
「うん、それで今歌と踊りが終わって」
ジェームス=ボンドとのそれがだ。
「ボンドさん帰ったね」
「また会おうって言ってね」
「あっさり帰ったね」
「これで終わりかな」
シッドは展開を観つつ言った。
「007の出番は」
「そうじゃないかな」
「只のゲスト出演?」
「マウリア映画じゃ普通かもね」
「いきなり関係ない人が出て来て急に消えるとか」
「それもね」
「そうなんだ」
「今また会おうって言ってね」
「何処かに消えたね」
「そうなったからには」
それならというのだ。
「もうね」
「これでなんだ」
「最後まで出ないか、いや」
「いや?」
「マウリア映画ってよく結末に登場人物勢揃いするから」
この時代のマウリア映画ではそうなっている。
「だからね」
「その時になんだ」
「出て来るかもね」
こう弟に話した。
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