八条学園騒動記
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第六百六話 まだらの紐なのかその四
「カーリー女神はそのラークシャサを徹底的にやっつけるんだ」
「そうした女神様ね」
「それがあまりにも徹底的で容赦がないがね」
「特徴なのよね」
「うん、悪を徹底的に滅ぼして」
そうしてというのだ。
「人間も神々も護るいい女神様なんだ」
「荒ぶる神ね」
「そしてお茶目なところもあるから」
「尚更人気なのよね」
「そんな女神様だから」
それ故にというのだ。
「ラークシャサはね」
「容赦なく攻撃するのね」
「それでその女神様の信者だと」
トムはエミリーに考えながら話した。
「ラークシャサと和解とか」
「有り得ないわね」
「普通はね」
「そうなるわね」
「あれっ、今調伏したって言ったよ」
シッドが字幕を見て二人に話した。
「ラークシャサ達を」
「ああ、そうなんだ」
「それならいいのかな」
「マウリアの神様ってラークシャサの神様もいたよ」
トムはここでこのことを思い出した。
「アスラの神様も」
「神々の敵でもいいんだ」
「うん、調伏されたらね」
それならというのだ。
「それでもね」
「いいんだ」
「この辺りマウリアって寛容だから」
「そういえば仏教だとラークシャサは羅刹、アスラは阿修羅だけれど」
エミリーは連合で広く信仰されている宗教の一つであるこの宗教のことを思い出した、尚マウリアでは仏教はヒンズー教の一派と考えられている。
「どちらも仏様になってるわ」
「そういえばそうだよね」
トムも従姉の言葉に頷いた。
「阿修羅にしてもね」
「あの腕が六本で顔が三つある」
「日本の仏像であるね」
「最初は仏様の敵だったけれど」
これを仏敵という。
「それが帰依してね」
「仏様になって」
「それでその物凄く強い力で戦って」
仏教の敵、悪とである。
「強いのよね」
「そうだったね」
「それでラークシャサもね」
映画に出て来たこの魔物、ここでは妖怪と言われている存在もというのだ。
「あちらでも帰依してね」
「神様になるから」
「こうした展開もいいのかしら」
「そういうことなんだ」
「私が思うにね」
こうトムに話した。
「そう思ったわ」
「そういうことだね」
「ええ、それでね」
「それで?」
「ラークシャサって実在するの?」
「マウリアで」
「普通に出て来たけれど」
映画の中にだ。
「実在するという感じの出方で対応だったけれど」
「あれじゃないかな。コーランと同じで」
「コーラン?」
「イスラム教のね」
連合ではイスラム教もかなりの勢力である、宗教については兎角様々な宗教が存在して信仰されているのだ。
「コーランに書かれていることで誤りはない」
「そう言われているわね」
エミリーも知っていることだ、連合ではメジャーな宗教の一つだからだ。
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