| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百七話 静かなクリスマスソングその十三

「それがわかっていないとね」
「駄目よね」
「作家として以前にね」
 もうそれこそだ。
「人間としてね」
「駄目よね」
「本当に人間自分に絶対の正義があると思ったら」
 その時こそだ。
「これ以上はない位に残酷になるよ」
「悪人よりもなの」
「憎しみや復讐に心を支配されてもだけれど」
 マイナスの感情にだ。
「自分に絶対の正義がある」
「そう思ったら」
「もうこれ以上はないまでに残酷になって」
 異端審問官みたいにだ、歴史においてここまで邪悪な存在はそうそうない。
「見識も狭くなるよ」
「そうなるのね」
「視野狭窄にね」
 そちらにだ。
「なるよ、変なこと言う人を絶賛したりね」
「その作家さんもそうなのね」
「平気で自分の嫌いな人を人間の屑と呼ぶけれど」
「その実は」
「自分はどうなのか」
「独善的になっていて」
「ちょっと間違えたらね」
 それこそ半歩でもだろう。
「自分がね」
「そうなりかねないわね」
「もうなってるかもね」
 人間の屑にだ。
「自分が言われたら怒るかも知れないけれど」
「そう言うと下らない人ね」
「今頃その作家さん何してるかな」
 クリスマスのこの夜にだ。
「一体」
「ワイン飲んでるかしら」
「どうだろうね、愛国者ぶって偉そうに言ってるかもね」
 正義の国士を気取ってだ、けれど国士になりたいのならそれこそいつも自分を客観視しないと日本の為にまともに働けないだろう。
「何処かで」
「正義がどうとか」
「言ってるだろうね、それで人種的民族的宗教的偏見もね」
「言ってるのね」
「愛国者としてね、そんな人にはね」
 もうそれこそだ。
「このイルミネーションもサンタクロースも似合わないよ」
「平和や愛情は」
「似合うのは変な神父だよ」
 キリストの生まれた夜ならだ。
「自分が悪とはわかっていないね」
「本物の悪ね」
「そうした神父と一緒にいるよ」
 ある漫画の六部に出た神父だ、吸血鬼やスタンドを扱ったこのシリーズでは悪役も凄いけれどこの神父も相当だった。
「それが一番似合ってるよ」
「独善同士で」
「類は友を呼ぶだからね」
 これは不思議な法則だ、同じレベルの人が集まる。花には蝶が寄るし汚物には蠅がたかるということだ。
「そうなっているかもね、若しくは他のね」
「偏見の塊みたいな愛国者ね」
「その人達も集まるから」
 これも類は友を呼ぶだ。
「まあ同じて和せずだね」
「論語だったかしら」
「うん、つまらない人達はね」
 論語では小人と書かれていた。
「同じことを言ってもね」
「心ではなのね」
「結ばれていないのね」
「そういうことだろうね、まあそんな人達は」
 それこそだ。
「そのうち心ある人からは見極められる機会が出て来て」
「そこで正体がわかって」
「終わりだよ」
 その正体がわかってだ。
「そうなるよ、そんな人達は反面教師にして」
「私達は仲良くなのね」
「そうしていったらいいよ、心からね」
 論語で言う和して同じずだ。
「そうすればいいよ、じゃあこのまま暫く」
「ここにいて」
「イルミネーション観るのね」
「そうしていくのね」
「香織さんがそうしたい限りね」
 僕は香織さんに微笑んで答えた、そうしてだった。
 そのままイルミネーションを観ていった、サンタさんを中心として世界中の童話の登場人物達が集まったそこには平和と融和があった。


第三百七話   完


                 2020・11・8 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧